

今回の要点チェック!
- FXのチャートを読む上で時間の認識は欠かせない要素
- 1日を通しての注意時間は三大市場の始まりと終わり
- 曜日単位では月曜日の窓と金曜日の動きに注意する
- 1ヶ月を通しての動きは、重要指標によって決まりやすい
- 1年間を通しては、円安または円高になりやすい月があるので覚えておく
- 全ての時間軸を総合して考えると、さらに確実なエントリー判断材料になる
目次
時間の癖や特徴をつかむ重要性を理解しよう
FXのチャートは、縦軸がレート、横軸が時間を表していますね。
つまり、当然ながらチャートを正しく理解するためには、時間を常に意識する必要があります。
時間軸を意識してチャートを正しく理解できるようになれば、自然とエントリーする時間帯も決まってくるものです。
もちろん手法によりますが、稼いでいるトレーダーの多くは、エントリーの時間帯というのはほとんど毎回同じ時刻であることが多いです。
例えば、下のチャートはユーロ/米ドルの1日の動きを15分足で見たものです。
赤丸の期間ではあまり動きはありませんが、赤矢印の時間から大きくチャートが動き出しているのが分かりますか?
この動き出しの時間帯というのは日によってバラバラという訳ではなく、毎日チャートを見ていると傾向や特徴があるのが分かります。
赤丸は東京市場の期間(9時〜15時)で、赤矢印はロンドン市場が始まる16時です。
もちろん毎日全く同じ形という訳ではないですが、傾向としてユーロ/米ドルはこのような特徴があります。
通貨ペアによっても変わってきますので注意しましょう。



通貨ペアごとの時間の特徴、癖を理解することが、稼げるトレーダーへの近道と言えるでしょう。
1日を通しての時間帯の特徴を知ろう
三大市場に注目しよう

FX市場は土日以外の平日は24時間常にレートが動いています。
どこかの国の市場が終わっても次の国の市場が開くというように世界のどこかの市場が常に開いているからです。



時間帯の特徴をつかむ上で、この三大市場がそれぞれ開く時、閉まる時というのは重要なポイントになります。
では三大市場の開始、終了時刻をもう一度確認しましょう。
三大市場
- 東京市場 9:00 ~ 15:00
- ロンドン市場 17:00 ~ 1:00 ( 夏時間 16:00 ~ 0:00 )
- ニューヨーク市場 22:00 ~ 6:00 ( 夏時間 21:00 ~ 5:00 )
この時間帯は主にそれぞれの株式市場を基本に考えたものです。
そもそも為替相場は国ごとで市場時間が明確に設定されているわけではないので、開始、終了時間の捉え方にズレが生じる場合も多いです。
どれが正しい時間なのかというよりもチャートを毎日見ることによって、自分の中で感覚として身につけていく必要があります。
例えば毎日チャートを同時刻に見ていれば、今日からニューヨーク市場が夏時間に移行していたのを忘れていても、「今日は動き出しがいつもと違うな」と認識することができるでしょう。


それでは三大市場の傾向を大まかに確認しましょう。
三大市場の傾向
- それぞれの市場が始まると、それまでのトレンドが変わることがよくある(東京市場は前日のNY市場の流れを引き継ぐ場合も多い)
- それぞれの市場で大きなトレンドが発生しやすい
- それぞれの市場の終了時刻が近づくと、それまでのトレンドと反対の動きをすることがよくある
これらは傾向であって必ずそうなる訳ではありません。
三大市場の始まりは、参加者が多くなり取引量が増えるためにトレンドが発生しやすくなります。
また各市場の終わりには一旦利益を確定しようとする動きが出やすいため、トレンドと反対の動きをすることがよくあるのです。
これらの特徴は一番参加者が増えるロンドン市場とニューヨーク市場が重なる時間帯21時から0時あたりで特に顕著です。
その他の注目時刻
早朝( 6:00 ~ 8:00 )
ニューヨーク市場が終わり、東京市場が開くまでの早朝の時間は取引数量が少なくなり流動性が低下するので注意が必要です。

午前9時55分
この時刻は中値と言い、銀行が投資家や輸出入業者に対して、レートの基準を出す時刻です。
この時間を目がけて円安になる傾向があります。

また下落相場の時はこの時刻が戻りのエントリーチャンスになったりもします。
16時( 冬時間 17時 )
ロンドン市場が開く時刻です。

この始まりの時間にトレンドに乗ることができれば、大きな利益となります。
市場が開く前にトレンドとは逆の動き(ダマシの動き)をする場合も多く注意が必要です。
ただし、16時からの動き出しが、ロンドン時間のトレンドを形成することが多いので、この時刻は特に欧州通貨を取引する場合にはチャンスとなることが多く、もっとも大切な時間帯となります。
21時から23時( 冬時間 22時から24時 )
この時間帯はニューヨーク株式市場が開くので注意が必要ですが、それ以上に重要な経済指標が発表される時間帯でもあります。
特に第1週目の金曜日21:30に発表される米雇用統計は、発表後に大きな動きをするため注意が必要です。
その日に重要な経済指標や要人発言が予定されていないかチェックするようにしましょう。
1週間における曜日ごとの特徴を知ろう


月曜日
まず月曜日ですが、流れが出にくい曜日です。
東京時間は特に動きが少ない傾向にあります。
時間差があり、まだNY時間が日曜日だということもあり、参加者が少ないためです。
その週の動き出しを確認してから参加したいというトレーダーも多くいます。
このような理由から月曜日はトレンドが発生しにくい曜日と言えます。
月曜日で一番注意したいのは「窓」です。
チャートはユーロ/米ドルの日足チャートです。
100pips近くレートが離れ、窓ができている箇所がありますね。
前週の金曜日のニューヨーク市場が終わり、月曜日に市場が再開されるまでにレートの大きな変動があった場合に生じるものです。
一部の地域では日曜が休日でない国もあり、実は為替相場は土日も動いています。
取引量は少ないですが、レートは動いているということです。
なので土日に何かレートを急変させるような出来事が起きた場合、FX会社が月曜に取引を再開すると前週とのレートの差がチャートに「窓」となって現れるのです。
この「窓」は埋められる、つまりレートは元に戻ることが多いです。
開いた窓は必ず埋まるという人もいます。


それは埋まるにしてもいつ埋まるのかまでは分からないからです。
その日のうちに埋まることもあるでしょうし、数ヶ月後にようやくという場合もあるでしょう。
トレンドが強い場合は窓が閉まらないまま動き続けることもあります。
うかつに手を出さない方がいいです。
また、このような急騰急落のリスクを避けるためにも週末なるべくポジションを持ち越さないことがリスク回避につながります。
火曜日から木曜日
火曜日から木曜日にかけては、週の中でもトレンドが発生しやすい曜日です。
トレンドが短い場合は火曜から水曜と水曜から木曜で反転する場合もあります。
いずれにせよ週単位のトレンドに乗ってトレードしたい場合は火曜日からのエントリーチャンスを逃さないようにしましょう。
金曜日
金曜日は一言で言えば厄介な曜日です。
チャートの動きが難解になりやすいです。
理由としては、経済指標等の関係で大きく動く傾向のある曜日だからです。
中でも注目度の高い米雇用統計は毎月第1金曜日に発表されます。
特に米雇用統計が発表される金曜日は注意が必要です。
大きく動くためチャンスにもなりますが、損失リスクも同じだけ高まります。
また、週単位で考えると最終日ということで、その週の利益を確定しようとする動きが多くなります。
そのためトレンドが終わったり、反転したりすることが多い曜日でもあるのです。
1ヶ月を通して週ごとの特徴を知ろう
次は時間軸をさらに広げて週単位で考えていきましょう。
その時の相場環境によって変わってきますが、ひと月の中で最も重要な指標の一つは、やはり第一金曜日のNY時間に発表される米雇用統計です。
この数字を見て、トレンドが形成されてからエントリーしたいというトレーダーが多くいることもあり、1週目というのは、あまり動きがない、トレンドが発生しにくい週になる傾向があります。
2週目、3週目以降からはその月のトレンドが発生しやすい週となりますが、月によっては各国の政策金利発表や要人発言があり、その時までトレンドが出なかったり、初旬のトレンドが反転する場合もあります。

月単位でのトレード結果を重視しているトレーダーは多く、最終週も注意が必要です。
最終週や最終日は金曜日と同じように、ポジションを手仕舞いしようとするトレーダーも多くいるために難解な動きをすることも多いです。
1年を通しての月ごとの特徴を知ろう
長期間ポジションを保有するスイングトレードやスワップ運用をするのであれば、年間を通しての動きというのも大変重要です。
1月
1月はその年の値動きを探る重要な月と言われています。
1月は海外機関投資家が年間におけるスタート月としていることもあり、新たにポジションを持つなどして一方向に大きな動きをすることも多いです。
そのため1月の為替レートがその年の高値や安値になることがよくあるのです。
年単位でポジションを考える場合は年明けの方向をしっかりと確認することが重要です。
ただ近年ではそれほど1月の値動きと年間の値動きが合致することが少ないです。
例えば2000年以降で調べる限りは1月相場と年間相場が一致しない方が多くなっているため1月相場を見て年間相場を予想するのは難しくなっています。
ただし1月に一方向に大きく動くような場合は年間の値動きのヒントになる可能性が高いです。
また1月1日は為替市場が休みになるので、土日を挟まなければ1月2日から新年の市場が始まりますが、正月休みなどの閑散期を狙った仕掛け的な値動きにも注意する必要があります。
例えば2019年の1月3日の相場は記憶に新しいですが、このような値動きにも備える必要があります。
ドル円日足
2月
3月決算を迎える国内企業が、海外で運用していた資金を日本国内にもどす(レパトリエーション)ため円高になりやすい月です。
また海外の投資期間が4半期決算を採用していることが多く、ヘッジファンドの決算月は3,6,9,12月であることが多いです。
そしてその決算日から45日前までに顧客は解約を申し出なくてはならない45日ルールというものが大きく2月相場に関係しています。
3月決算日の45日前頃、つまり1月末から2月にかけてはヘッジファンドが顧客を流さないために利益確定のポジション調整に入るので、2月はそれまでと反転の動きをすることも多いのです。
さらには1月の経済見通しと実際の経済状況を考慮して、各国の金融政策に変更が加えられるのも2月によく行われます。
例えば2016年2月においては日本は、「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」がスタートしたため大きくドル円が下落しています。
その他の要因も複雑に絡み合いますが、以上の2つが大きな要因となって2月は波乱相場になる傾向があります。
3月
2月と同様に3月決算を迎える国内企業が、海外で運用していた資金を日本国内にもどす(レパトリエーション)ため円高になりやすい月です。
それを狙った売買も行われるため必ず一方向に動くという訳ではありませんが、ドル円のレートが動きやすい月です。
理由としては、海外投資家は一旦利益確定し、国内投資家も4月からの新年度を前に売買を控えます。
そして市場参加者が少ない中で大口の売買が行われるとレートが一気に動くことになるからです。
4月
日本では4月から新年度ということでドル円などクロス円は新たな動きが発生しやすい月です。
3月までの動きが反転することもよくあります。
また国内企業の動きに目を向けるとレパトリエーションと反対の動き、ドル買いで円安につながりやすい月でもあります。
5月
5月では有名なSell in May「セルインメイ」という言葉がありますね。
主に米株について言われているものですが、5月に高値をつけてその後下落することが多いので、5月には一旦手持ちの株を売っておきなさいということです。
そして円相場に関しては円高に振れることが多いです。
日本ではゴールデンウィークの長期休暇に入ることもあり、仕掛け的な値動きが発生しやすくなることも注意です。
6月
3月ほどではありませんが、決算月の特徴が見られます。
また米金利が転換しやすい月でもあるので、為替相場においても反転の動きをしやすい月となります。
ただし他の月に比べるとそこまで特徴のある月ではありません。
7月
7月から8月にかけては「夏枯れ相場」とも呼ばれており、取引が少なくなる閑散相場になることが多いです。
これは主に欧米の投資家が長期休暇に入ることが大きく関係していますが、1年のうちでも動きが少なくなる月です。
8月
8月においても多くの投資家は長期休暇が続いており「夏枯れ相場」が続くことが多いですが、注意したいのは日本の盆休み付近です。
お盆休み前に投資家の手仕舞いによって株が下がることも多いです。
為替相場においては、この閑散相場を狙った仕掛け的な値動きが出てくることが多く、円高に振れやすいです。
8月の下旬ごろになると長期休暇を終えた投資家が戻ってきてトレンドを形成されやすくなります。
9月
7月から8月の「夏枯れ相場」を経て新たなトレンドが発生しやすい月となります。
また多くの企業で決算月になるので、3月のような決算月の特徴もあります。
10月
トレンドが発生しやすい月です、9月からのトレンドが強い場合は継続することも多いですし、10月から大きなトレンドが発生することもあります。
過去においては、2008年のリーマンショックにおいてドル円で一番下落幅が大きかったのが10月です。
このように歴史的な出来事が発生するのが10月に多いため「不吉な月」というアノマリーがあります。
10月に起きた歴史的な出来事
- 1929 10月 世界恐慌
- 1987 10月 ブラックマンデー
- 2008 10月 リーマンショックによる下落幅最大
11月
5月同様に12月決済に向けた動きが出やすい時期です。
11月の第4木曜日にはアメリカでは「感謝祭」と呼ばれる大きな連休があり、この連休前にポジション調整が行われる傾向もあります。
感謝祭の期間中は参加者も少なくなるため突発的な値動きにも注意です。
12月
1年の終わりということもあり、ポジション調整による値動きにも注意したい時期です。
また、数少ない為替相場の休みがクリスマスです。
この時期までは大きな動きをすることも多いですが、クリスマスが始まると参加者が少なくなり、年末にかけて閑散相場になっていきます。
クリスマス以降は、突発的な値動きをすることもありますが、値動きが少なくなっていくため無理にトレードをする必要はないです。
12月にトレードをするのであれば、クリスマスまでのトレンドを狙った取引をするのが良いです。
時間軸を総合的に考えよう
時間軸別にレートの動きの特徴を説明してきましたが、頭に入れておくべきは必ずそうなるとは限らないということです。
FXは本当に様々な要因が絡み合い、正確に動きを予測するのはまず不可能です。
ただ、時間の癖や傾向が重要なのは、それを知ってエントリーすることで、トレードの優位性が上がるからです。
それぞれの時間軸を総合的に考えられるようになると、トレードの優位性がさらに上がるはずです。
例えば、極端な例としては「円安になりやすい4月に、動きが出やすい2週目の火曜日以降で、9:55分を狙った米ドル/円の買いトレードをする」などです。
今回は時間に焦点を当てて説明してきましたが、この時間軸の意識とチャートパターンやテクニカルの習得が稼げるトレーダーになる近道です。
時間の特徴がつかめてきたら、チャートパターンやテクニカルの知識も身につけましょう。
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