

〜今回の要点チェック!〜
- 移動平均線とはチャートの動きを平均化して滑らかにしたもの
- 移動平均線の傾きやローソク足との位置関係からトレンドや売買サインを読むことができる
- 移動平均線の種類は3種類あり、過去の値動きを引き継ぎながら直近の値も重視した指数平滑移動平均線(EMA)がよく使われる
- グランビルの法則とは移動平均線とローソク足の位置関係から8つの売買サインを読み取るもの
- 期間が異なる移動平均線どうしの位置関係に注目して、ゴールデンクロスやデッドクロスを読み取ると売買サインになる
目次
移動平均線とは
移動平均線とは簡単に言うとチャートの動きを平均化して滑らかにしたラインです。
平均化することで動き(トレンド)が分かりやすくなることが一番のポイントです。
例えば次のローソク足チャートを見てみましょう。
細いですが緑線が移動平均線です。
例えばAの期間はローソク足で見ると上昇する期間もあれば下降する期間もありジグザグなのが分かります。
移動平均線を見ると概ね並行を保って動きがない(レンジ相場)だということが分かります。
またBの期間ではローソク足チャートにおいては、日単位で見ると下落している期間もありますが、移動平均線では基本下がることなく上昇トレンドを形成しているのが分かります。
このように移動平均線は上下の動きを平均化して滑らかにすることで、大きな流れとしてチャートを見たときの動きが分かりやすくなります。

計算方法を知っておくと移動平均線の性質というものが分かるので、有効に使えるようになります。
移動平均線とは当日からさかのぼった一定期間の終値の平均値を算出して、1日ずつずらして算出していくことで点をライン上に結んだものです。
この一定期間は自分で決めることができるのですが、短期なのか長期なのかでもちろんラインの形状が異なってきます。

まずは当日4/24から4日前の終値5つ分を全て足して5で割ります。
これが当日4/24の移動平均線の値です。
そして1日ずらして4/23から考えて4日前までの終値5つ分を全て足して5で割ります。
これが前日4/23の移動平均線の値です。
このように1日ずつずらして過去5日分の平均値を日ごとに算出した値を結んだ線が5日移動平均線ということです。
移動平均線の種類

まずは最初にどんなものがあるのか伝えておきますね。
移動平均線の種類
- 単純移動平均線(SMA)
- 加重移動平均線(WMA)
- 指数平滑移動平均線(EMA)
単純移動平均線(SMA)
先ほど説明した移動平均線が単純移動平均線(SMA)と呼ばれるものです。
例えば100日単純移動平均なら100日分を均等に割って平均を出すことになりますね。
これは何を意味するかというと例えば90日前の終値も前日の終値も扱いとしては同じということです。


1/11終値は115円で前日1/10終値の113円より上昇していますね。
では単純移動平均線も上がるでしょうか?
答えはすでに書いてありますが、移動平均線の値が1/10は115.6で1/11が114.8なので移動平均線は下がることになります。
このように当日のレートが上昇しても移動平均線が下がることがあるのです。
理由としては1/6の120円が加味されなくなったからですが、このように過去のレートに影響され、現在のレートを反映せずにズレが生じる場合も出てきます。
売買サインが遅れて点灯したりするのもこのためです。
そこで考えられたのが、現在のレートに重点を置いた加重移動平均線(WMA)です。
加重移動平均線(WMA)
加重移動平均線(WMA)の計算方法が理解できると特徴もつかめるでしょう。
例えば、期間5日の場合は当日を5倍、1日前を4倍、2日前を3倍、3日前を2倍、4日前を1倍とすることで直近のレートを重視した移動平均線ができます。
例の場合は期間も短くレートもほぼ同じ値のため先ほどとあまり変わりませんが、この計算式だと直近の動きに対応できることが分かりますね。
ただこの場合はあまりにも直近に重点を置きすぎなので、直近の動きに左右され、上昇したり下降したりしやすくなります。
つまりダマシと呼ばれる動きが多く発生することになります。
そこで考えられたのが、指数平滑移動平均線(EMA)です。
指数平滑移動平均線(EMA)
大きな違いは終値のレートをもとにするのではなく、前日のEMA値を基本に考える点です。
例えば5日指数平滑移動平均線を考える場合は前日のEMA値を過去4日分に用いるので4倍します、あとは当日の終値を加えると5日分になりますが、直近の動きを重視するため2倍にして足します。
出た数字を5日分 + 1 = 6で割ると値が出ます。
ちなみに一番最初のEMAの値を算出する時は単純移動平均線(SMA)の計算方法を使います。
この計算方法だと過去の値動き(EMA)を引き継ぎながら、直近の値も重視することができます。
バランスのとれた移動平均線として用いているトレーダーが多いです。


短期売買が多く直近の値も重視したいということであれば指数平滑移動平均線(EMA)が向いているでしょう。
トレードスタイルにも関わってくるということです。
移動平均線の設定


まず移動平均線は一定の期間の値動きを平均化したものでしたが、その期間日数を何日に設定すべきか迷う場合も多いです。
基本は短期足、中期足、長期足と3つの異なる期間の移動平均線を用いて表示させることが多いです。
よく用いられるのは次のような設定です。
移動平均線の設定例
- 短期足:5日、10日
- 中期足:20日、25日、75日
- 長期足:100日、200日
この期間が注目される理由としては、FXは土日は休みとなるため、5日は1週間、20日や25日は約1ヶ月、200日は約1年と区切りが良い期間になるためです。
計算方法でもわかるように期間が短いほど直近の値動きに左右されやすくなります。
やはりどの期間を使うかは代表的なものの中から選び、あとは自分に合ったものを使うことになるでしょう。
どの期間にするかこだわるのも良いですが、それ以上に選んだ期間を使い続けて、チャート上に現れたトレードに使えるサインを読み取れるようになることが大切です。
コロコロ期間を変えているようでは、そのサインに気づくことが難しいでしょう。

グランビルの法則を理解しよう
期間の設定が終われば次は移動平均線とローソク足の関係に注目してみましょう。
移動平均線とローソク足(レート)の位置関係によって売買サインを読み取ることができます。
グランビルの法則というものを説明しましょう。
1960年代にジョセフ・グランビルという米国の証券アナリストが200日移動平均線を利用してラインの傾きにより上昇トレンドか下降トレンドかを知ることができることと、買い時、売り時を見極める8つの法則を唱えました。
まずは買いパターンの4つです。
グランビルの法則(買い時)
- 横ばいまたは上昇中の局面で移動平均線をレートが上に抜けた時
- 上昇中の局面でレートが移動平均線を下回ったがすぐに上昇に転じた時
- 上昇中の移動平均線の上のレートが下がっても割り込むことなく反発上昇した時
- 下降中の移動平均線から大きく乖離して下落した時(売られ過ぎの反発を狙う)
次は売りパターンの4つです。
グランビルの法則(売り時)
- 横ばいまたは下降中の局面で移動平均線をレートが下に抜けた時
- 下降中の局面でレートが移動平均線を上回ったがすぐに下落に転じた時
- 下降中の移動平均線の下のレートが上がっても抜けることなく反発下落した時
- 上昇中の移動平均線から大きく乖離して上昇した時(買われ過ぎの反発を狙う)

ゴールデンクロスとデッドクロスを理解しよう
先程は移動平均線とローソク足(レート)の関係を見て売買サインを読み取るものでした。
ここでは2つ以上の移動平均線どうしの関係を読み取って売買サインを読み取る方法を説明しましょう。
まずはゴールデンクロスです。
ゴールデンクロスとは下落した後に短期の移動平均線が長期の移動平均線を上抜くことです。
次のチャートの赤線が5日移動平均線、緑線が20日移動平均線です。
赤丸の地点で短期線が長期線を上回っているのがわかりますね。
短期的には売りたい人よりも買いたい人の方が増えてきたことが分かります。
急落の直後などはダマシになることもありますが、短期線が長期線を上回るのは買いのサインと見なされます。
もしそれまで売っていた場合は決済のポイントに利用するのもいいでしょう。

デッドクロスとは上昇した後に短期の移動平均線が長期の移動平均線を下抜けることです。
先ほどと同じようにチャートの赤線が5日移動平均線、緑線が20日移動平均線です。
赤丸のところで短期線が長期線を下抜けているのが分かりますね。
短期的には買いたい人よりも売りたい人が増えてきたことを意味しています。
もちろんダマシもありますが、これは売りのサインと見なされます。
もしそれまでに買っていた場合は決済のポイントに利用するのもいいでしょう。

移動平均線を使ってトレードをしている人は、短期、中期、長期の3本の移動平均線を表示させて位置関係からトレンドや売買サインを読み取る場合も多いです。
下のチャートは、上から短期線(赤)、中期線(緑)、長期線(青)の順になっていますね。
これが買いのパーフェクトオーダーとも言われ強い上昇トレンドが発生しているサインとなります。

次のチャートは、今度は上から長期線(青)、中期線(緑)、短期線(赤)の順になっていますね。
これが売りのパーフェクトオーダーとも言われ強い下降トレンドが発生しているサインとなります。
戻りを狙って売りたいところです。

