

〜今回の要点チェック!〜
- ユーロ円の通貨ペアとしての世界取引シェアは小さく流動性が低くなる時は注意が必要
- ユーロ円はドル円とユーロドルの合成通貨であり、この2つの通貨ペアが同一方向に動くときにユーロ円が大きく動く
- ユーロ円のボラティリティはドル円に比べて大きく、ハイリスクハイリターンになる可能性がある
- ユーロ円を取引するなら東京市場の9時から10時、欧州市場が開始する16時以降を狙って取引する
- スワップポイントは低めなのでスワップ運用には適さない、売りでプラスのスワップポイントが発生することに注意
- 他の通貨と比べると必要証拠金は高めで資金効率としてはデメリットになる
- ユーロ圏の国々の経済情勢に影響されやすく、日頃から情報を仕入れておくことが大切
- ユーロを大きく動かす指標としてECB金融政策発表に注目する
目次
ユーロ円の基本情報と値動きの特徴
ユーロ円の基本情報
まずはユーロ円の基本情報から確認していきますね。
これから説明する基本情報もユーロ円の値動きに関係してくるので知っておくと役立ちます。
ユーロドルは、英語表記ではEUR/JPYと表示され、ユーロと円の通貨ペアです。
為替市場における通貨別取引高のシェアを見てみると、ユーロが16%で2位、円が11%で3位となっています。
※BIS(国際決済銀行)の2016年のデータより
※小数点以下は四捨五入
ユーロと円をそれぞれ通貨別の取引高シェアを見てみると比較的大きなシェアとなっていますが、次にユーロ円の通貨ペアとしての取引シェアを見てみましょう。
為替市場の通貨ペア別取引シェア
ランク | 通貨ペア | 世界シェア |
1 | ユーロ/米ドル | 23.05% |
2 | 米ドル/円 | 17.72% |
3 | 英ポンド/米ドル | 9.24% |
4 | 豪ドル/米ドル | 5.24% |
5 | 米ドル/カナダドル | 4.29% |
6 | 米ドル/人民元 | 3.78% |
7 | 米ドル/スイスフラン | 3.54% |
8 | ユーロ/英ポンド | 1.96% |
9 | ユーロ/円 | 1.56% |
その他 | 29.62% |
※BIS(国際決済銀行)の2016年のデータより
ユーロ円の通貨ペアとして見ると世界シェアは1.56%となっており、ユーロドルやドル円と比べるとかなり少ないですね。
円を含む通貨ペアということで日本国内では人気の通貨ペアですが、世界的に見るとシェアは少ないのです。


波に乗ることができれば大きく伸ばせますが、反対に大きな損失を出してしまう可能性も高いのです。
もちろん損切りを上手に利用することが大切ですが、上下に激しく動くような場合は、損切りの回数が増える要因にもなります。
またドルストレートではなくクロス円だということも値動きに大きく影響を与えています。
実はユーロと円は市場で直接取引することができません。
ユーロで円を買いたい場合は、まずユーロでドルを買いその後ドルで円を買う仕組みになっています。
合成通貨とも呼ばれていますが、ユーロ円の相場はユーロドルとドル円の相場が大きく関わっているのです。
ユーロ円の値動きの特徴
さらに具体的な値動きを説明すると、ユーロドルとドル円の相場が両方とも上昇しているときにユーロ円は大きく上昇する傾向があります。
反対にユーロドルとドル円が両方とも下落しているときにユーロ円は大きく下落する傾向にあります。
そしてユーロドルが上昇して、ドル円が下落するというように相反する動きをする場合にはユーロ円は大きな動きにならないことが多くレンジ相場になることが多いです。
このようなことから、値動きの特徴としては一度動き出すと大きな動きになることが多いです。
ユーロ円を扱う場合は、ユーロドルとドル円のチャートを同時に並べてエントリーチャンスを待ちましょう。
そしてユーロドルとドル円が同じ方向に動き出すのを待って順張りで狙うのが基本です。
2つの通貨ペアの値動きを確認しながらエントリーの判断をする必要があったり、テクニカル的にもダマシが出現することも多いので、初心者の場合はドルストレートの方がおすすめです。
ユーロ円を取引するなら、方向性が分かりやすい時のみに絞って取引するようにしましょう。
ボラティリティとトレードするべき時間帯
ユーロ円のボラティリティ
次はユーロ円が1日でおよそどのくらい動くのかボラティリティを確認してみましょう。
ドル円とユーロ円のボラティリティの比較
ドル円 | ユーロ円 | |
1日あたり | 0.56円 | 0.70円 |
1年あたり | 10.48円 | 16.09円 |
※2019/7/24時点、1日あたりのボラティリティは直近3ヶ月の平均
ドル円に比べるとユーロ円はボラティリティが大きいことが分かります。
ちなみにポンド円はユーロ円よりさらにボラティリティが高いです。
ポンド円は流れに乗れれば大きく取れますが、その分損失リスクも高いです。
つまり「ボラティリティが大きい」=「簡単に取れる」という訳ではありませんが、波に乗れれば1日でどれくらい値幅を狙えるのかは頭に入れておきましょう。
取引すべき時間帯とは


円を含む通貨ペア全般に言えることですが、東京株式市場の開始にあわせて為替相場も動き出す傾向があります。
まずはこの時間の流れに乗って大きく利益を伸ばすのを狙いましょう。
上でユーロ円はドル円とユーロドルの合成通貨であることを伝えましたが、この9時〜11時頃の時間帯はユーロドルが停滞していることが多く、ドル円の動きの方に追随することが多いです。
そしてその次の注目すべき時間帯が16時(冬時間17時)からの欧州市場です。
この時間帯からはユーロドルが動き出すので、その動きに追随してユーロ円も動きが大きくなります。
ユーロ円はこれまで説明してきたようにドル円、ユーロドルの両方の相場に影響されますが、さらに時間帯を含めて考えると主に午前中はドル円、夕方からはユーロドルの影響をより受けやすいです。
スワップポイントと証拠金
ユーロ円のスワップポイント
ユーロ円を取引する上で知っておきたいのが、スワップポイントと証拠金です。
まずスワップポイントからですが、ユーロ円の1万通貨あたりの「売」のスワップポイントが15円、「買」のスワップポイントが-15円となっています。※7/22「みんなのFX」
このプラススワップポイントは他通貨と比べると小さめなので、スワップ運用にはあまり向いていません。
もし長期保有する場合は「売」のエントリーを狙った方がスワップポイントを考えるとメリットとなります。
ただそこまで大きなスワップポイントではないので、買いと売りの両方のチャンスを狙って取引する方が良いです。
プラスのスワップポイントが発生すればラッキー程度に考え、マイナスのスワップポイントが発生すれば経費とでも考えて為替差を狙った取引を中心にするのをおすすめします。
たとえマイナスのスワップポイントが発生しても十分為替差益で取り戻すことができるはずです。
ユーロ円の必要証拠金
次に主要通貨ペアの証拠金も確認してみましょう。
通貨ペア | 証拠金 |
ドル円 | 43,264円 |
ユーロ円 | 48,209円 |
ポンド円 | 53,787円 |
豪ドル円 | 30,200円 |
NZドル円 | 28,965円 |
トルコリラ円 | 7,556円 |
※2019/7/24時点 「GMOクリック証券 FXネオ」1万通貨あたりの必要証拠金
他の通貨と比べてみても1万通貨あたりの必要証拠金は高めですね。
ドル円やポンド円と比べると大きな差はありませんが、クロス円の他の通貨、豪ドル円やNZドル円などと比較すると差がありますね。
資金効率を考えると必要証拠金の高さはデメリットになります。
ユーロの長期展望と注意すべき指標
まずはユーロの金利動向を確認しましょう。
2008年のリーマンショック以後、基本的に下げ続けています。
2016年3月から現在2019年7月時点までユーロの政策金利は0.00%となっています。
そして知っての通り日本円も低金利状態が続いています。
2019年7月時点では-0.10%となっています。

ユーロについては今後緩やかに経済が回復して、それに伴って長期的には金利も緩やかに上がっていくことが予想されていますが、早くても利上げは2021年以降と予想されています。
参考:日本総研「欧州経済展望」
経済情勢や金利を考慮した場合は、しばらくはユーロの上昇要因は見込めません。
またユーロはユーロ圏の国々のショックに反応しやすい傾向があります。
2009年から起きたギリシャ危機はユーロを押し下げる大きな要因となりました。
その後も時間をおいてこのような「欧州債務危機」が報道されるごとにユーロ相場を動かす大きな要因となっています。
また記憶に新しいところでは2016年のイギリスのEU離脱を問う国民投票も大きな影響を及ぼしました。
このようにユーロは複数の国々に共有されている単一通貨なので、様々な要因で相場が動くことになります。

そしてユーロ円に大きな影響を与えるドル円の長期チャートでは保ち合いが続いていて特に2016年以降は大きなトレンドに至っていません。
ドル円 月足チャート
この保ち合いをどちらに抜けて大きな動きになるかですが、日本の経済情勢や米株式市場の動向に大きく左右されそうです。
現在ダウも最高値をつけるなどまだ好調を維持しているので、ドル円の大きな下げ要因につながっていませんが、もしダウが崩れるようなことがあれば、円が買われ、ドル円やクロス円は下げに転じる可能性が高いです。
経済は周期的に好景気、不景気を繰り返しますが、そろそろ周期的に経済が停滞する時期に差し掛かっています。
もちろんその他の様々な要因が重なりあって相場が形成されるので、予想することは難しいですが、ユーロ円相場は長期的には下落の可能性の方が高そうです。
ユーロ円相場で特に注意すべき指標としてはECB金融政策発表です。
2019年は年8回予定されており、夏時間は20:45にECB金融政策発表、21:30にドラギ総裁定例記者会見となっています。(冬時間は1時間遅れます)
このECB金融政策発表の日はドラギナイトとも言われていますが、特に政策金利が想定外に変更した場合はやはり値動きも激しくなります。
1日で200~300pips動く場合もあるので、チャンスではありますが、リスクも高く注意が必要です。
その他のユーロ円相場を大きく動かす要因となるものをまとめておきます。
ユーロ円相場を動かす要因
・ECB金融政策発表
・米FOMC
・日銀金融政策決定会合
・イギリスEU離脱問題の進展
・欧州各国の債務危機
これらのイベントでユーロ相場がどのように動くのかをしっかり見極めてトレードをするようにしましょう。