

今回はダウ理論を利用したトレード方法について解説します。
どの段階でエントリーをすれば良いかなど、トレードに実際に使うための注意点を説明していきます。
今回の記事でダウ理論をトレードにどのように使えばいいのかが明確になります。
〜今回の要点チェック!〜
- トレンド継続の定義は上昇トレンドなら高値更新、安値切り上がり、下降トレンドなら安値更新、高値切り下がり
- 高値安値に注目する際に水平ラインを利用すると分かりやすい
- トレンドの3段階のうち2段階目の追随期を個人トレーダーは狙うべき
- 環境認識のために複数足チャートを見ることは重要だが、どの時間足の流れを狙うのかは一つに絞る
- ダウ理論とラインを使ってトレードすると優位性も高い
- レジサポラインとトレンドラインが交差するところは絶好のエントリーチャンス
ダウ理論の基本原則を確認
それではまずダウ理論がどのようなものかをチェックしましょう。
19世紀ほども前から使われている相場理論ですが、テクニカル分析の基本として今でも世界中の多くの投資家に利用されています。
ダウ理論には「6つの基本原則」があります。
ダウ理論の基本原則
- 価格(平均株価)は全ての事象を織り込む
- トレンドは短期・中期・長期の3つに分類される
- 主要なトレンドは3つの段階から形成される
- 価格は相互に確認される必要がある
- トレンドは出来高でも確認されなければならない
- トレンドは明確な転換シグナルがでるまで継続する
最後の方で、ダウ理論をトレードにどのように使うのかを各種ラインも利用しながら説明していきます。
まずは基本原則の中から特に重要な2、3、6を選び具体的に説明していきます。

トレンドの定義をダウ理論から学ぼう
相場の環境認識をする上でレンジ相場なのかトレンド相場なのかの判断はとても重要です。
様々な時間足で捉えるとFXの相場局面はトレンド相場とレンジ相場の2つしかないとも言えます。
つまり、トレンド相場の定義が分かれば、そうでない時は基本的にレンジ相場と考えることができます。



ダウ理論の基本原則6の「トレンドは明確な転換シグナルがでるまで継続する」が理解できればトレンドの理解も深まります。
トレンドを判断する上で大切なのが直近高値、直近安値です。
例えば上昇トレンドであれば、押し目を作りながら上昇するのが基本ですが、押し目の安値が切り上がっている、高値を更新している限りはトレンド継続と判断します。
反対に下降トレンドであれば戻りを作りながら下降するのが基本ですが、戻りの高値が切り下がっている、安値を更新している限りはトレンド継続と判断します。
このように高値や安値に注目することがダウ理論に基づいたトレンドの考え方の基本なので、高値や安値を切り上げているか切り下げているかの判断に水平ラインを利用するのはとても有効です。
次のチャートは2017年11月時点の米ドル円の日足チャートです。
チャート右半分で上昇トレンドが継続していますね。
どこまで細かい上下動を考慮するかは難しいところですが、今回は分かりやすく説明するために青の折れ線を使ってチャートの動きを分かりやすくしています。
当日の環境認識をするために、直近高値にAの水平線を引き、直近安値にBの水平線を引きます。
この時点ではAとBの間での動きとなっていますが、この後もしAのラインを上抜くことができれば上昇トレンド継続と判断します。
反対にBのラインを下抜けてしまうとダウ理論では上昇トレンド終了と判断します。
実際にこの後はBのラインを下抜けて下降トレンドに反転しました。

例のように高値、安値に注目して水平ラインを引き、そのラインを越えたらどうなるのかを常に意識しておきましょう。
ちなみに、トレンド終了になったからといって反転するかといったらそうでもありません。
再度トレンド方向に動き出すこともありますし、レンジ相場になることもあります。
例えば、上昇トレンドが終わったから反転を狙って売りを狙おうとするのはダウ理論だけで判断してしまうと上手くいかないことが多いです。
トレンド相場のどの段階を狙えばいいの
トレンド継続の定義が分かったところで、次はトレンド相場のどの段階を狙えばいいのかという話です。
ダウ理論の基本原則3に「主要なトレンドは3つの段階から形成される」というものがありましたよね。
トレンドの3つの段階とは次のように分けられます。
トレンドの3段階 | |
第1段階 | 先行期 |
第2段階 | 追随期 |
第3段階 | 利食い期 |
先行期
先行期は、まだトレンドが発生しているかどうかが分からない段階です。
例えば上昇トレンドの先行期は、レートが下がりきったようなところで、大口の投資家などが底値で少しずつ買いポジションを増やしていくような段階です。
そのために緩やかにレートが上昇してきます。
個人トレーダーは発生したトレンドについていくのが一番やりやすいのですが、この先行期はまだそのトレンドが掴みにくく、様子見をする方が得策です。

追随期
追随期はダウ理論でもトレンド相場が確認でき、トレンドを確認した投資家が反応し、レートがさらにトレンド方向に動き出します。
個人トレーダーが狙うべきはこの追随期です。
ダウ理論をもとにトレンドの発生を確認できたら、リスクリワードをしっかりと確認して、優位性の高いエントリーポイントを探しましょう。
利食い期
利食い期はトレンドの最終段階とも言えます。
波に乗り遅れた初心者トレーダーなどが、慌てて相場に参加するなどして、さらにレートがトレンド方向に動きます。
ただし、この段階においては先行期にエントリーしていた大口の投資家などが、利食いをし始める段階でもあるので、トレンドが緩やかになり、多くのトレーダーも決済し始めます。
また反転を狙ってエントリーするトレーダーも増えることでトレンドが終了します。
チャートで確認すると以下のようなイメージです。
実際のチャートで追随期を狙ってみましょう。
その前の安値が更新されなかったと判断した場合、Aで直近高値を上抜けているので、買いサインが点灯し、上昇トレンド成立となります。
ここから買い場を探してエントリーするのですが、押し目になったB付近でエントリーできれば理想ですね。
ただこのAの段階ではダマシになってレンジ相場になったり反落したりすることもよくあります。
もう少し待って次の高値を上抜けたCでも買いサインが点灯し、上昇トレンド継続となります。
買い場を探して、押し目になるD付近でエントリーできれば理想です。
このD付近でエントリーする方が、より確実に上昇トレンドに乗れる可能性が高いですが、その分利益もB付近でのエントリーに比べると少なくなりますよね。
トレンドが早期に終わってしまう場合は微益か損切りになることもあります。
初めて高値を更新した後の戻りのB付近でエントリーするか、2度目の高値更新した後の戻りのD付近でエントリーするのかは、判断が難しいです。
その時の相場環境や通貨ペアの癖などの特徴を掴みながらどちらでエントリーするのか判断しましょう。

チャートの時間足に注目してトレンドを理解する
次はダウ理論の基本原則2の「トレンドは短期・中期・長期の3つに分類される」に注目してチャートの時間足とトレンドについて説明していきます。
期間で分けた3つのトレンド | |
短期トレンド | 3週間未満 |
中期トレンド | 3週間〜3ヶ月程度 |
長期トレンド | 1年〜数年間 |
期間ごとにトレンドを分けると、このような分け方があるようですが、デイトレードやスキャルピングなどのトレードスタイルはその日の流れを狙っていくので、さらに短い期間でのトレンド(流れ)を狙うことになります。
そのような場合は、どの時間足チャートのトレンドを狙いにいくのかをしっかりと決めておく必要があります。
この基本原則2で大切なことは、時間軸を意識してトレンドを狙うことなので、さらに短期のトレードに生かすとしたら、チャートの時間足を意識することにつながります。
次のチャートを見てみましょう。
日足では下降トレンドですが、赤丸の箇所に注目して1時間足で見ると上昇トレンドになっています。
どの時間足のどの流れを狙うのかで大分作戦が変わってきますね。
もちろん各時間足チャートが同方向に動く場合もあります。
例えば、日足、4時間足、1時間足など、複数の時間足が同じ方向を向いている時は強いトレンドが発生している場合が多いです。
ただその時まで待つのもいいですが、エントリーチャンスの頻度は少ないです。
もう少しエントリー回数を増やしたい場合は、例えば4時間足と1時間足が同じ方向に動いている時もエントリーするなどして自分なりのルールを作るのもポイントです。

環境認識のためには複数足のチャートを見ることはとても重要です。
ただし、どの時間足を基本にトレードで狙うのかは時間足を1つに絞って狙った方がいいです。
ダウ理論とラインを使ったトレードとは
それではダウ理論を頭に入れた上で水平ラインやトレンドラインを使ってエントリーポイントを考えて見ましょう。
次のチャートではCで買いエントリーするのが理想的です。
チャートの動きを詳しく説明していきます。
まずAの段階で高値を更新し、上昇トレンド成立となるので、押し目を狙ってエントリーするのもありです。
ただし、まだ上昇トレンドライン(青の斜線)をその段階では引くことができないこともあり、本当に上昇トレンドが続くか様子見をします。
そしてB付近では直近高値を上抜くか反転するかの攻防が伺えます。
このように何度も跳ね返されているレジスタンスラインは抜けた後も今度はサポートラインとなって機能する可能性が高いです。(レジサポライン )
B付近のもみ合いの後、買い勢力が買ってラインを上抜けています。
これで上昇トレンド継続ですが、このラインを上抜けてすぐに買うよりも、戻ってきたところ(この場合は押し目)を狙った方が、損失を小さく利益を大きくすることができます。
戻ってきてレートが止まるところがチャンスなのですが、このあたりで止まりそうだというラインを見つけましょう。
例の場合は上抜け攻防をしたレジスタンスラインがサポートラインになるのを期待してこのレジサポライン付近をエントリーや損切りの判断材料にします。
さらには直近安値に注目してトレンドライン(青の斜線)を引いてみましょう。

なので、この場合Cが一番優位性の高いエントリーポイントなのです。
このようにダウ理論を頭に入れながら水平ライン、トレンドラインに注目してみましょう。
ポイント!
- 直近高値、安値を更新した後の押し目、戻りを狙うこと
- レジサポラインやトレンドラインに注目してエントリーチャンスを伺う
- 2つのラインが交差するポイントにレートがくれば大チャンス