

〜今回の要点チェック!〜
- 分割決済は含み益と含み損のどちらにおいても可能
- 分割決済はその後の相場次第でメリットにもデメリットにもなる
- 分割決済は損失を抑えながらも一定の利益は確保したい場合に向いている
- 分割決済は、相場や通貨ペアに合わせルールを作ることが重要
- pipsをもとに分割決済するより、重要ラインを超えるかどうかで分割決済した方が安定する
- 最小取引単位が小さい方が細かく分割決済できる
分割決済とは
それでは分割決済の説明から始めていきますね。
分割決済とはその名の通り、決済を分割して行うことです。
例えば、10万通貨で買いのエントリーをした場合に、通常なら決済は10万通貨の売りという注文になりますが、分割決済では半分ずつ5万通貨に分けて決済したり、2万通貨ごとに5回に分けて決済したりすることを言います。




そのような場合に分割決済は有効なのです。
トレードがうまくいき含み益が出た時にポジションのいくらかを決済しておくことで最低限の利益を確保する方法です。
分割決済の割合にもよりますが、残りのポジションが損切りにかかってもトータルではプラスマイナスゼロ以上を確保することも可能です。
また残りのポジションが上手く流れに乗ればさらに利を伸ばすことができます。

評価損がある場合の分割決済は、主にスワップ運用などで損切りの幅が大きい時に効果的な方法です。
例えばロスカットラインに近づいて強制決済されそうなところで含み損が出ているポジションを半分決済して損失確定することで、残りのポジションはロスカットラインまでいくらか余裕ができます。
ロスカットラインにかかるまでに、もし相場が反転してくれれば、損失の約半分が助かることになりますね。
このように含み益が発生している場合も含み損が発生している場合も両方分割決済をすることができます。

分割決済のメリットとデメリット
分割決済にはメリットもありますが、デメリットもあります。
理想的な分割決済は、例えば損切り10pips、利益50pipsと設定してトレードした場合に目標の50pipsまで含み益を伸ばすことができれば半分決済します。
まだまだ伸びそうだと判断すれば、残り半分の損切りを0pips(建値)に移動させてさらに利益を伸ばします。
建値決済とはエントリーした値と同じ値、つまりプラスマイナスゼロで決済することです。
この場合、損切りになっても目標利益の半分は確保されたことなり、相場次第では目標利益以上を狙うことができますね。
デメリットとなるのは、相場がどのように動いたかにもよるのですが、例えば先ほどの設定で早々に分割決済してしまう場合です。
10pipsの含み益が出たところで半分のポジションを分割決済した場合に、その後目標の50pipsまで利を伸ばすことができたとしたら、一括決済の場合の4割ほど損をしたことになります。
2万ドル通貨の取引の場合(利益確定) | |
一括決済 | 分割決済 |
2万×50pips÷100=10,000円 | 1万×10pips÷100=1,000円 |
1万×50pips÷100=5,000円 | |
合計 10,000円 | 合計 6,000円 |
もちろん結果論にはなってしまいますが、分割決済をした後で、残りのポジションが大きく利益を伸ばすことができたとしたら、結果的には分割決済はしないほうがよかったということになります。
一方でもし相場が反転した場合で損切りにかかる場合は、一括決済よりも損失額は小さく抑えることができるので、メリットになります。
先ほどと同じ設定で10pipsの含み益が出たところで、半分決済して、相場が反転して残りのポジションが目標まで達することなく-10pipsの損切りになった場合は、一括決済の場合と比べてどうでしょうか。
2万ドル通貨の取引の場合(損失確定) | |
一括決済 | 分割決済 |
2万×-10pips÷100=-2.000円 | 1万×10pips÷100=1,000円 |
1万×-10pips÷100=-1,000円 | |
合計 -2,000円 | 合計 0円 |
分割決済の場合はたとえ損切りにかかったとしてもプラスマイナスゼロとなりますね。
このように分割決済は相場次第でメリットにもデメリットにもなります。
リスクをとって最大限に利益を狙うのには向いていませんが、損失額を抑えながら一定の利益を狙いたいという場合には分割決済はとても相性が良いです。
分割決済のもう一つのメリットとしては、トレードの精神的負担が少なくなることがあります。
例えば、10pipsの利益が出たら半分決済して、残りの損切りを-10pips以上にすると、その時点でマイナスになることはありません。
運が良ければ、さらに伸ばせますし、運が悪くてもプラスマイナス0です。
分割決済をせずに一括決済をする場合は、一時含み益が出ても、結局損切りで終わることも少なくないので、たとえ一括決済に比べて利益が少なくなることがあっても精神的には負担が減るはずです。
後でも説明しますが、分割決済をするのであれば、相場や自分のトレードスタイルに合わせたルールを作り、そのルールに従って機械式に分割決済するのが望ましいです。

分割決済の具体的なやり方
どの程度利益が出たらどのくらい決済するのかということは、トレードスタイルによっても変わってきます。
ただ分割決済をするにしても、一括決済の場合のリスクリワードを基本にして考える必要があります。
例えば損切り10pips利益20pipsの設定(リスクリワード1 : 2)でトレードをしていたとしましょう。
この設定でプラス10pipsの利益で半分決済したとすれば、残り半分は30pipsまで伸ばすことを狙うのが理想です。

ノーリスクなので、利益を伸ばせるだけ伸ばすこともできます。
ただし、このようにpipsをもとに考える場合は、相場や通貨ペア、時間帯などに最適化していないと上手く行かないことも多いです。
例えば、デイトレードで10pips程度は頻繁に取れるけど、30pipsまで利益を伸ばすことはなかなか難しい場合は、先ほどの例で説明したような分割決済の方法は上手くいきません。

もちろん相場や通貨ペアの特徴に合わせて最適化すればいいのですが、日々変化する相場環境に合わせるのはなかなか難しいところがあります。
そこでおすすめとしては、基本は分割決済しないで、利益目標のラインを超えた場合に半分決済し、残り半分の損切りラインを利益目標ライン付近に設定することです。
もう少し具体的に説明しますね。
エントリーする場合、理想的なのは損切りラインと利益確定ラインをあらかじめ設定することですよね。
その利益確定ラインを水平ラインやトレンドラインをもとに設定する場合に有効なのがこの分割決済方法です。
例えば以下のチャートでは、直近高値の抵抗線を参考にして、利益確定ラインを設定しています。
利益確定ラインに設定する理由についてはトレンドがそこで止まる可能性が高いからです。
ただし、そのラインを超えることができればさらにトレンドが継続していく可能性が高くなります。
このようなことを考えて、もし利益確定ラインまで達したら、反発するかブレイクするかを少し様子見します。
跳ね返されるようであれば、全ポジションを決済すればいいですし、もしブレイクした場合は、半分を決済して、残りのポジションの損切りラインを利益確定ライン付近に再設定します。
もしトレンドが続かずに戻ってきた場合でも利益確定ラインまでの利益は確保できますし、ラインを超えているので、さらに利益を伸ばすこともできます。
このように基本は分割決済なしで損切りライン、利益確定ラインを設定してエントリーして、うまく行った場合にのみ重要ラインを基準に分割決済をした方が、pipsありきで分割決済を考えるよりも、上手くいく可能性が高いです。

ダメな分割決済とは
分割決済はデメリットのところでも説明しましたが、必ず上手くいくわけではありません。
一番良くない分割決済はルールがない分割決済です。
裁量によって分割決済するのは、相場に対応してできるのであればいいですが、なかなか難しいです。
ルールがないと大抵は感情がトレードに入ってしまい、利益が少なくなってしまう場合がほとんどです。
例えば、負けが続いた場合は数pips利益が出たくらいで、分割決済してしまうこともあるかもしれません。
その後に大きく伸びたとしたら、分割しなければ取れていただろう利益を失うことになってしまいます。

損小利大のトレードが望ましいですが、損小利小のトレードになってしまい、リスクリワードが崩れてしまう原因にもなってしまいます。
おすすめは上で説明したような重要ラインを超えた時だけ分割決済を考えることですが、もしpips単位で分割決済を考えるのであれば、相場環境や通貨ペアの特徴をしっかりと理解した上でルールを作り、そのルールを遵守してトレードをする必要があります。
分割決済ってどうやって注文するの
それでは実際にどのように分割決済の注文をするのかを説明していきます。
取引ツールは各会社で違うので、全てのツールで説明することはできませんが、ここではGMOクリック証券FXネオのスマホ版取引ツールでの分割決済の方法について説明しておきます。
注意事項としては、分割決済をしてしまうと、残りの保有ポジションのOCO設定、つまり損切り注文や利益確定の注文がリセットされることです。
なので、残ったポジションに対して新たに決済注文を設定する必要があります。
それではツールの画面を使いながら説明していきます。
エントリーした後に一番下のスピード注文タブをタップしましょう。
①で取引数量を決めます。例では40万通貨の買いポジションを持っているので、半分決済するなら20と入力します。
②の売りボタンをこの場合は押すと20万通貨分を決済することになります。
注文設定で両建がOFFになっていないと新規注文になるので注意しましょう。
また損切り注文と利益確定注文についてはリセットされるので、残ったポジションについて新たに設定しましょう。
一番下のトレードタブをタップします。
③で建玉一覧をタップします。
④で設定したいポジションを選択します。
すると注文設定画面になるので、決済注文の変更をします。
⑤でOCO注文を選ぶと損切り設定も利益確定注文も同時に発注できます。
⑥で取引数量を入力して、それぞれのレートを設定すればOKです。
成行のスピード注文でなく、レートを指定して分割決済したい場合もこの画面から設定します。
ただし、レートを指定して分割決済の注文を出した場合は、決済されると残りは損切り設定がないままポジションを保有することになるので注意しましょう。
分割決済するには最小取引単位も重要
資金が豊富で2万通貨以上の取引をする場合は特に問題がないですが、例えば最小取引単位が1万通貨の場合は決済も1万通貨単位になります。
この場合、1万通貨でトレードしていた場合は、そもそも分割決済ができません。
もし少額で取引をしているのであれば、100通貨単位での取引ができる「マネーパートナーズ 」がおすすめです。
例えば先ほどの1万通貨での取引の場合なら、極端に言うと100通貨単位で100分割決済が可能です。
そこまで細かく分割して決済することはないでしょうが、1,000通貨の取引であっても最大10分割決済できるということです。

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