

今回の要点チェック!
- 損切り幅はトレードスタイルにより異なるが、損失額は資金の1~2%までで、エントリーの根拠が崩れるラインを基準に考える
- エントリーするときは、まずは損切りをどこに設定できるか考える
- エントリーと同時に損切りと利益確定の注文もしておく
- リスクリワードがしっかり設定されていれば勝率にこだわらなくてもよくなる
- エントリー後は感情に流されないために利益または損失確定までチャートを見ないようにする
- 過去検証をすることで損切りのスキルは上がる
目次
損切り幅の決め方は?
資金をもとに決める

資金をもとに損切り幅を決める場合は、1回の損切りの損失額は資金の1~2%までに設定しましょう
例えば、100万円の資金なら1回の損切りは1~2万円までということになりますね。
ただ、どれくらいの取引数量で取引するかで(実効レバレッジにより)同じ1~2万円でも損切りの幅(pips)は異なってきます。
例で説明した方がわかりやすいですね。
設定
- 損失額:資金の1%(1万円)
- 米ドル/円のレート:100円
- 資金:100万円
取引数量10万通貨の場合
- 実効レバレッジ:10倍
- 損失額1万円の損切り幅:10銭(pips)
取引数量1万通貨の場合
- 実効レバレッジ:1倍
- 損失額1万円の損切り幅:100銭(pips)
つまり資金に対して取引数量が少なく、実効レバレッジが低いほど、同じ損失額でも損切りまでの許容幅(pips)が広くなり切られにくいということです。
ただしその分利益も小さいですけどね。
ポイント
- 資金をもとに損失額を設定した場合は、取引数量により、損切りまでの幅が異なる
トレードスタイルをもとに損切り幅(pips)で決める
先ほどは金額で損切り幅を決めましたが、次は損切り幅を固定する場合です。
この場合、トレードスタイルにより損切り幅が異なります。
スキャルピングで1日に何十回もトレードする場合は、予想と反対方向に動いたらすぐに損切りして次のチャンスを狙う方が良いですよね。
また1日でトレードを完結させるデイトレードであれば、もう少し損切り幅を広げないとすぐに切られてしまうでしょう。
さらに長期間保有するスイングトレードの場合は、ある程度レートの上昇下降にも耐えられるようにもっと幅を広げる必要があるでしょう。
トレードスタイルごとの損切り幅の目安をまとめてみました。
トレードスタイル | 目安となる損切り幅 |
スキャルピング | 3~10pips |
デイトレード | 5~30pips |
スイングトレード | 20~100pips |
目安ですので、相場環境やリスクリワードを考えながら調節する必要があります。
テクニカル分析やチャートから決める
最後は主にチャートを読み取りテクニカルの観点から損切りの幅を決めるものです。
この場合、よくエントリーの根拠が崩れるポイントを損切りラインに設定することが多いです。
例えば例を出すと次のようなポイントがあります。
それぞれ赤丸のポイントで買いでエントリーして損切ラインを赤線に設定するという方法です。
赤線を下に割り込めば、予想が外れることになるので、エントリーの根拠が崩れるということです。
この赤線の損切りラインに近づけてエントリーすることができれば、損切り幅を小さくできるでしょう。
実際は赤線よりも少し下に損切りを設定しないと切られやすくなります。
損切りのコツやタイミングをつかもう!



ちなみに理想的な損切りとは、許容損失が小さくかつ切られにくいことです。
いくら損切りの幅が小さくても、何度も切られるようでは損切り貧乏になってしまいます。
逆に幅を大きくすると切られにくいでしょうが、切られた時の損失が大きくなってしまい、勝率が高くなければ利益を出すことが難しいでしょう。
理想的な損切りの決め方
- エントリーの根拠を探す
- エントリーの根拠が崩れるポイント(ライン)を損切りラインにする
- 現在のレートから損切りラインまでが10pips以内になるまで待つ(トレードスタイルによる)
- 取引数量を調節して10pipsの損失額が資金の1~2%以内になるようにする
今回は例として損切り幅を10pipsとしましたが、この程度に抑えられると取引数量を増やしてトレードをしても損失額は資金の1~2%内になるでしょう。
全ての条件を満たした損切りを設定するためには、エントリーチャンスを狙って待たなければいけません。
つまり、そんなに何度もチャンスが訪れるわけではないですが、実はチャンスは少ない方がいいのです。
特に初心者のうちは、あまりチャンスでもないのにたくさんエントリーしがちです。
その場合の結果は分かりますよね。
チャンスでもないということはその分損切りが切られやすいということにつながります。
エントリーすればするほど損失が膨らむことでしょう。
ポイント
- 理想的な損切りは、許容損失が小さく切られにくいこと
- 自分で設定した損切り幅でエントリーできるまで、エントリーチャンスを待たなければならない
損切りを考える上で必要不可欠なものとは?
エントリー時の確認事項とは
最初のうちは当たり前ですが、どうしてもエントリーのみに集中してしまいがちです。
例えば相場が動き出して上昇したからチャンスを逃さずエントリーしようという場合です。
動き出したからエントリーするというのは間違ってはいませんが、エントリーの時に損切りをどこにするか、利益はどこまで狙うのかを決めてエントリーできていない場合が多いです。
先ほどは、エントリー前に損切りラインを設定することを伝えましたが、あと一つエントリー前に確認したいのが、利益ラインです。
エントリーチャンスだと思ったら、損切りをルール内で設定することができるか、また狙う利益はそれ以上あるかをチェックしてからエントリーしなければいけません。
つまり、エントリー時に損切りのラインも利益確定のラインも決まっているということです。
ちなみにエントリー時にそれらのラインを設定しておけば自動で決済してくれます。
エントリー後はチャートを見る必要がないということですね。
リスクリワードを最適化しよう
損失と利益の比率をリスクリワードという言葉で表します。
この比率はとても重要で、これを最適化できれば利益につながります。
このリスクリワードは、勝率と合わせて考える必要があります。
ポイントを簡潔に説明すると損小利大になればなるほど勝率にこだわらなくてもよくなります。
その反対で損大利小になればなるほど勝率をあげないと利益を出すことが難しくなります。
以前にも伝えたことがありますが、リスクリワードと勝率について表にまとめてみました。
損益がプラスマイナスゼロ以上になるために必要な勝率です。
リスクリワード | 最低限必要な勝敗 | 最低限必要な勝率 |
5 : 1 | 5勝1敗以上 | 83.3% |
4 : 1 | 4勝1敗以上 | 80% |
3 : 1 | 3勝1敗以上 | 75% |
2 : 1 | 2勝1敗以上 | 66.7% |
1 : 1 | 1勝1敗以上 | 50% |
1 : 2 | 1勝2敗以上 | 33.3% |
1 : 3 | 1勝3敗以上 | 25% |
1 : 4 | 1勝4敗以上 | 20% |
1 : 5 | 1勝5敗以上 | 16.7% |
リスクリワード1 : 3以上は欲しいところです。
例えばリスクリワードが1 : 5の場合の一例が損失7pips利益35pipsということになります。
35pipsであれば、一日の中で十分狙える範囲ですね。
6回エントリーしてそのうちの1つでも勝つことができればプラスマイナス0ということです。
損切りを習得するためには
プロスペクト理論を克服する
プロスペクト理論によると人は感情に任せてトレードをしているとどうしても損失は大きく、利益は小さくなるようです。
その人間心理に逆らったルール作り、例えばリスクリワードを決めるなどして、そのルールを徹底して守ることが大切です。
損切りを自動化しよう
実践を積み重ねていく中で損切りの幅が決まってきたら、エントリーと同時にあらかじめ決めた幅で損切りを設定できる注文方法があります。
詳しくは別にて詳しく説明しますが、感情に流されて途中で損切りをしなかったり、幅を変えたりしないようにあらかじめ設定しておくと良いです。
チャートを見ない
これも感情に流されないための対策です。
乱高下するチャートを見るのは精神的にも良くないです。
エントリー時に損失、利益を全て決めてしまって、エントリー後はチャートを閉じるのも感情を排除した損切りを徹底する一つの方法です。
ついでに無駄なエントリーも減ることでしょう。
検証をしよう
過去のチャートを定期的に振り返って、どのポイントなら自分が決めたリスクリワードでエントリーできたのかをチェックします。
次回同じ形がチャート上にできたときに自信を持ってエントリーや損切りができるようになります。