

〜今回の要点チェック!〜
- FXはスキルが身に付くまでは少額で始め、資金を増やすにしても必ず余剰資金で行う
- 資金の1~2%を1回のトレードの損失額に設定する
- 損失額と損切り幅が決まれば適切なポジションサイズが分かる
- ポジションの持ち方にはナンピンやピラミッティングなどの方法があるが、資金管理が難しくなるので初心者にはおすすめしない
- 1日の取引回数の上限や、資金がどのくらいまで減ったらトレードを休止するかのかをあらかじめ決めておく
- 資金管理だけでは安定して稼ぐことはできず、手法(トレードスキル)とメンタルも欠かせない
目次
まとまった資金はスキルを身につけてから
実際に資金を投入してトレードをする際の注意点から確認しましょう。
- 余剰資金で行う
- リスク分散をする
- 安定して稼げるまでは少額でトレードする
まずはFXに使える資金を捻出することになりますが、余剰資金で行うことが第一前提です。
いくらトレードスキルを身につけたとしても資金を失うリスクはゼロにはなりません。
借金をしてまでFXをすることは絶対にないようにしましょう。
そしてリスク分散をすることも大切です。

システム障害発生時のリスク対策にもなりますし、取引数量が大きくなりすぎないので、メンタル的にも落ち着いてトレードできます。
そして一番大切なのは安定して稼ぐことができるようになるまで失ってもいいくらいの少額でトレードを始めることです。
最近ではFX会社を選べば数百円、数千円で始めることができるところもあるので、まずはトレードの練習、資金管理の練習と割り切って少額で始めるのがおすすめです。
FXは資金が多いとそれだけリターンも大きくなるので、本格的に稼ごうと思ったらまとまった資金が必要です。
ただスキルがまだ身についていない段階では失ってしまう可能性の方が高いです。

1回のトレードの損失額を決める
損切りを徹底することが安定した利益を出すためには不可欠だということはこれまでも説明してきました。
資金管理の幹となるのがこの損切りです。
今回は損切りを入れる場所というよりも、損失額や損切り幅に焦点を当てていきます。
いくら損切りを毎回設定していても1回の損切りで資金の10%以上を失っているようではすぐに資金が尽きてしまいます。
トレードスタイルによっても異なりますが、短期トレードで取引回数が多いスタイルの場合は1回のトレードにおける許容損失額は資金の1~2%程度に収めることが基本です。

例えば10万円の資金であれば1,000円、100万円の資金であれば1万円が1回のトレードの許容損失額になりますね。
まずはこの1回のトレードの損失額を決めることから始めてみましょう。
損切り幅を決める
1回の損切りの損失額については上で説明した通りですが、次に損切り幅をどのくらいに設定すべきか考えてみましょう。
もちろん損切り幅は小さいほど損失も少ないのですが、単に小さくするだけでは、損切りが多発して損失が積み重なって大きくなってしまいます。

また損切り幅もトレードスタイルによって異なってくるので、自分のスタイルに合った適切な幅というものをトレードしながら身につけていくことになります。
トレードスタイルと目安となる損切り幅を表にしました。
トレードスタイル | 目安となる損切り幅 |
スキャルピング | 3~10 pips |
デイトレード | 5~30 pips |
スイングトレード | 20~100 pips |
目安となる損切り幅をまとめましたが、トレーダーによってかなり開きがあると思います。
損切り幅だけで決めるのではなく、利益をどの程度狙うのかにも関わってきます。
リスクリワードとも呼ばれますが、損失と利益の比率を損小利大になるように設定します。
例えばリスクリワード1 : 3以上を狙って取引すると勝率が5割なくても利益が出るようになります。

取引数量(ポジションサイズ)を決める
1回の損切りの損失額と損切り幅が決まれば資金に対してどのくらいの通貨量(取引数量)でトレードすれば良いのか、つまり適切なポジションサイズが分かります。
例えば資金10万円で米ドル円(レート100円とする)を取引する場合を考えてみましょう。
- 資金 :10万円
- 損失額 :1%=1,000円
- 損切り幅:10pips
- 取引数量:1万通貨
この場合は1万通貨で取引することになります。
ちなみに実効レバレッジについては10倍となります。
次に損切り幅を20pipsと設定した場合はどうでしょうか。
- 資金 :10万円
- 損失額 :1%=1,000円
- 損切り幅:20pips
- 取引数量:0.5万通貨(5,000通貨)
この場合は0.5万通貨つまり5,000通貨で取引することになります。
ちなみに実効レバレッジについては5倍となります。
同じ損切り額であれば、損切り幅を小さくするほどレバレッジが高くなり、損切り幅を大きく設定するほどレバレッジが下がります。
基本的に短期トレードほど損切り幅が小さくなり高レバレッジの取引も可能です。

取引数量の決め方
損失額(円) ÷ 損切り幅(pips) × 100 = 取引数量
損失額を資金の1%とした時の損切り幅と取引数量(ポジションサイズ)の早見表です。
資金 | 1%の損失額 | 損切り幅5pipsの ポジションサイズ | 損切り幅10pipsの ポジションサイズ | 損切り幅20pipsの ポジションサイズ |
---|---|---|---|---|
1万円 | 100円 | 2,000通貨 | 1,000通貨 | 500通貨 |
5万円 | 500円 | 1万通貨 | 5,000通貨 | 2,500通貨 |
10万円 | 1,000円 | 2万通貨 | 1万通貨 | 5,000通貨 |
15万円 | 1,500円 | 3万通貨 | 1.5万通貨 | 7,500通貨 |
20万円 | 2,000円 | 4万通貨 | 2万通貨 | 1万通貨 |
25万円 | 2,500円 | 5万通貨 | 2.5万通貨 | 1.25万通貨 |
30万円 | 3,000円 | 6万通貨 | 3万通貨 | 1.5万通貨 |
35万円 | 3,500円 | 7万通貨 | 3.5万通貨 | 1.75万通貨 |
40万円 | 4,000円 | 8万通貨 | 4万通貨 | 2万通貨 |
45万円 | 4,500円 | 9万通貨 | 4.5万通貨 | 2.25万通貨 |
50万円 | 5,000円 | 10万通貨 | 5万通貨 | 2.5万通貨 |
100万円 | 10,000円 | 20万通貨 | 10万通貨 | 5万通貨 |


ポジションサイズは一定にすべきか
上の説明は資金における損失額の割合と損切り幅を決めてポジションサイズを決定する方法でした。
なので、当然のことですが、トレードによって資金が増えるとポジションサイズが大きくなり、反対に資金が減るとポジションサイズが小さくなります。
もし安定して資金を増やすことができればポジションサイズもそれにつれて大きくなり複利の力で資金を大きく増やすことができます。
利益スピードを重視するのであれば複利の力は魅力的なのですが、リスクもあります。
ポジションサイズが大きくなるごとに損失リスクも高まっていることになるからです。
たった1回の失敗、例えば損切りの設定ミスなどでこれまでに築き上げた資金を失ってしまう可能性もあるのです。
堅実にお金を増やしたいのであれば、利益が出た分だけ出金して常に同じポジションサイズでトレードするのも初心者にはおすすめです。

スキルが必要になりますが、同じ資金でもポジションサイズを意図的に変えてトレードする以下のような方法もあります。
ナンピン
ナンピンは相場が思惑と反対方向に動いて含み損が発生した場合に追加でポジションを持つ方法です。
損失がさらに膨らむリスクがありますが、相場が回復した時はナンピンをした方がプラマイゼロになるまでの値幅は小さくなります。
ただしこのナンピンをするには戦略的に一つ一つのポジションを小さくして資金管理する必要があります。
例えば最初のエントリーは10円程度逆方向にいってもロスカットに耐えることができるくらいの取引数量で行うべきです。
いつものトレードと同じようなポジションサイズでナンピンをするのはとてもリスクが高いです。
ピラミッティンング
ピラミッティングについては、最初のエントリーで含み益が発生した場合に追加でポジションを持って利益を伸ばす方法です。
段階的に取引数量を上げていく方法と、反対に下げていく方法、同じ取引数量で追加する3通りがありますが、利益を大きく伸ばせるのは最初のエントリーで取引数量を多くして段階的に下げていく方法です。
ただこの場合も戦略的にポジションサイズを考慮してエントリーしなければならないので、初心者には資金管理が難しくなります。
損切りをしっかりと設定していればナンピンほどのリスクはありませんが、しっかりとしたトレードスキルやチャートを読む力が身についてからの戦略となります。
このようなポジションの持ち方もありますが、初心者には資金管理が複雑になることもありすぐに実践できるものではありません。

複数ポジションを考慮したトレードはしっかりと知識を身につけた上で実践しましょう。
資金管理のルールを作ろう
これまで説明してきたのは1回のトレードにおける損失額を基本にした資金管理でした。
次はこのようなトレードを繰り返し行った時の資金管理についても考えてみましょう。
1日の取引回数や損失額、またはどのくらいまで資金が減ったら一旦トレードを休止するのかをあらかじめ決めておくのも資金管理で重要なポイントです。

- 1回のトレードの損失額は資金の1%、
- 1日のトレード回数は3回まで
- 資金が80%になったら一旦休止
このルールであれば1日の最大損失額は資金のおよそ3%ということになります。
この資金管理を守った上で資金が80%程度にまで減るようであれば、トレードの手法自体が成立していないかトレードスキルが身についていないということになるので、まだ多くの資金を入れてトレードする段階ではありません。
資金を使うほど失ってしまうことになります。
資金の80%というラインは一つの例ですが、ロスカットの前の段階で資金がどのくらいまで減ったらトレードを一旦休止するのかは決めておいた方が良いです。
取り返そうと思って感情的にトレードをしても上手くいかないことが多いです。
しっかりと時間をとって自分の手法と現在の相場環境を検証することが大切です。
後の方でも詳しく説明しますが、いくら資金管理が優れていてもトレードスキルや手法がそもそも身についていなければ、資金は減っていきます。
また、資金管理のルールを決めたところで、それを守ることができなければ資金管理は成り立ちませんよね。

資金管理だけでは勝てない
今回は資金管理に焦点を当てて説明してきましたが、資金管理はFXの根幹にもなる重要な要素です。
ただし、先ほども説明したようにこの資金管理だけで勝てるかと言えば、そうはいきません。
FXで稼ぎ続けるための三大要素があります。
- 資金管理
- トレード手法(スキル)
- メンタル
英語にして頭文字をとって3Mとも言われますが、この3つは密接に結びついていてどれか一つでも欠けると稼ぎ続けることができません。
例えば資金管理のルールを作ったとしても強いメンタルが身についていないと、簡単に破ってしまうこともありますよね。

例えば取引回数は1日3回と決めていても、負けが続くと取り戻そうとして10回以上トレードをしていたり、設定した損失額を上回る額の損切りを設定したりといとも簡単にルールを破ってしまうことがありました。
トレードは基本1人の世界で行うので、ルールを破ったところで何の罰則もありませんし、誰に何を言われるわけでもありません。
ルールを守れるメンタルを身につけるにはトレードに感情を入れないことが重要です。
まずはプロスペクト理論を理解してその反対の思考を身につけることが大切です。
またルール通りにトレードを行って成功した体験を積み重ねることです。
この場合少額でトレードの練習という位置付けがいいと思いますが、成功体験を積み上げることがルールを厳守できるメンタルの強化になります。

例えば優位性の高いエントリーポイントがわかるようになったとしても、やはり資金管理がなっていないと大きく資金を失ってしまうことにつながります。
リスクリワード1 : 4であれば4回トレードをして1勝3敗でも利益が出ますが、時には10連敗する場合もあります。
そのドローダウンに耐えることができないポジションサイズでトレードしていた場合は資金が一気に吹き飛ぶことになります。
FXで稼ぎ続けるためには資金管理、手法(スキル)、メンタルが不可欠だということです。