

〜今回の要点チェック!〜
- 必要証拠金は取引に最低必要な資金で取引量の25分の1に相当する
- 有効証拠金とは、決済前のポジションの損益も含めた口座資金の全て
- 証拠金維持率 = 有効証拠金 ÷ 必要証拠金 × 100
- 証拠金維持率と実効レバレッジは相関関係にありどちらも同じ指標として使える
- 使っているFX会社のロスカットラインや追証システムを確認しておく
- 初心者の場合は証拠金維持率250%以上、実効レバレッジ10倍以下を目安にする
目次
必要証拠金を理解しよう
まずは証拠金の意味から説明しますね。
FXはレバレッジといって資金の最大25倍の取引ができるシステムがあるのは知っていますね。
証拠金とはFXをするために(通貨の売買を行うために)担保として入金する資金のことを指します。

この証拠金をもとにレバレッジを使った取引ができるのです。
このレバレッジを利用した取引をする上で最低必要な資金のことを必要証拠金と言います。
この必要証拠金は取引量の25分の1、つまり4%と決められています。
ポイント!
・証拠金 通貨を売買するための資金
・必要証拠金 通貨を売買する時に最低必要な資金
例えばドル円のレートが110円の時に、1万ドル通貨の取引をしたい場合は、
110円 × 10,000ドル通貨 = 110万円
の資金が本来なら必要ですが、必要証拠金として4%あればいいので、
110万円 × 0.04% = 44,000円
あれば取引できます。
もし損失が出て、担保である必要証拠金が減るようであれば、取引が成立しなくなるので注意が必要です。
必要証拠金の維持率が100%を切らないようにリスク管理する必要があります。
この辺の詳しい話はこの後にします。
必要証拠金の計算式は次の通りです。
必要証拠金の計算式
必要証拠金 = レート × 取引通貨量 × 0.04


有効証拠金を理解しよう
では次に有効証拠金の説明をしますね。
これも実際にシミュレーションしながら説明した方がわかりやすいです。
ドル円のレート100円の時に、1万ドル通貨を買う場合を考えましょう。



ここでは必要証拠金を一定額にしてわかりやすくしています。
レートの変動により必要証拠金が増減するので実際の数字とは少しズレています。
口座に5万円入金して実際に取引しました。
必要証拠金は4万円なので、残りの1万円は余剰金になります。
もしこのままレートが動かなければ有効証拠金は5万円です。
レートが101円に上昇した場合、買いで保有していたポジションは評価益が1万円になります。
この場合の有効証拠金は6万円です。
反対にレートが99円に下落した場合、買いで保有していたポジションは評価損がマイナス1万円になります。
余剰金がちょうどなくなるので、有効証拠金は4万円になります。
ちなみに、評価損や評価益とはまだ決済される前の損失や利益です。レートの動きによって常に変動しています。
これで有効証拠金がわかったでしょうか。

有効証拠金の計算式
有効証拠金 = 必要証拠金 + 余剰金 ± 保有ポジションの評価損益
証拠金維持率の計算方法を理解しよう
ここまでで、必要証拠金と有効証拠金の説明をしてきました。
それらの意味が分かれば、証拠金維持率は簡単に理解できます。
証拠金維持率の計算式
証拠金維持率 = 有効証拠金 ÷ 必要証拠金 × 100
この維持率が100%を割るということは、取引に最低必要な資金が足りなくなるということを意味します。
具体的には追証(追加入金)が必要になったり、ロスカットが執行されるリスクが高まります。

証拠金維持率と実効レバレッジの関係を理解しよう
証拠金維持率と実効レバレッジは相関した関係にあるので、リスク管理の指標として同じように使うことができます。
実効レバレッジとは必要証拠金と余剰金の割合を調節して設定するレバレッジのことです。
実効レバレッジから証拠金維持率を算出したり、逆に証拠金維持率から実効レバレッジを算出したりすることもできます。
実効レバレッジと証拠金維持率の関係
実効レバレッジ = 2500 ÷ 証拠金維持率
証拠金維持率 = 2500 ÷ 実効レバレッジ
下の表はキリが良い数字での証拠金維持率と実効レバレッジの対応表です。
証拠金維持率 | 実効レバレッジ |
100% | 25倍 |
125% | 20倍 |
200% | 12.5倍 |
250% | 10倍 |
400% | 6.25倍 |
500% | 5倍 |
1,000% | 2.5倍 |
1,250% | 2倍 |
2,500% | 1倍 |


証拠金維持率とロスカット
証拠金維持率と密接に関わっているのが追証とロスカットです。
まずは追証ですが、必要証拠金の維持率が毎日の判定時刻において100%を割っていれば発生します。
判定時刻はFX会社によって異なりますが、NY市場が終わり、次の日の取引に切り替わる午前7時(サマータイム6時)の時間帯です。
追証が判定されると、指定時刻までに損失分を追加入金するか、保有しているポジションを一部決済するなどして、証拠金維持率を100%に回復させないといけません。
一度追証が発生するとその後相場が戻って証拠金維持率が100%を回復しても対応しなければいけません。
もし指定の時刻までに対応しなければ保有しているポジションが全て強制決済されます。
また、追証とは別に各会社でロスカットラインを設定しています。
ロスカットとは、証拠金維持率が一定のラインを割ると強制決済されるシステムです。
主要FX会社のロスカットラインを確認しましょう。
FX会社 | ロスカット執行 |
GMOクリック証券FXネオ | 証拠金維持率50%割れ |
DMM FX | 証拠金維持率50%割れ |
マネーパートナーズ | 証拠金維持率40%割れ |
SBI FXトレード | 証拠金維持率50%割れ |
外為ジャパンFX | 証拠金維持率60%割れ |
みんなのFX | 証拠金維持率100%割れ |
FXプライム byGMO80% | 証拠金維持率80%割れ |

証拠金維持率をシミュレーションしよう
エントリーしてポジションを持ったら証拠金維持率が100%を割るまでどのくらいの値幅があるのかを事前に把握しておく必要があります。
FX会社のサイトにてロスカットラインまでの値幅を算出してくれるツールも利用できる場合もありますが、自分でもおよその値を計算できるようにしておきましょう。
設定
通貨ペア: ドル円
レート: 110円
資金: 10万円
取引通貨量: 1万ドル通貨
順番に必要項目を確認していきましょう。
必要証拠金は
110円 × 10,000通貨 × 0.4 = 44,000円
余剰金は
10万円 - 44,000円 = 56,000円
1pipsの損益は
10,000通貨÷100=100円

1pipsの損益
1pipsの損益 = 取引通貨量 ÷ 100
これで証拠金維持率100%までの値幅を算出できますね。
1pipsの損益が100円なので、余剰金56,000円を100円で割って、
56,000円 ÷ 100円 = 560pips
スワップ運用をするとしたら、およそ5円60銭までの変動なら耐えることができます。
デイトレードで損切り10pipsと設定すれば、56回連続で負けると証拠金維持率が100%になってしまいます。
ここでは必要証拠金を一定額にしてわかりやすくしています。
レートの変動により必要証拠金が増減するので実際の数字とは少しズレています。
初心者の証拠金維持率の目安はどのくらい


ロスカットラインまでいくらか余裕を持たせるためにも実効レバレッジ10倍程度、つまり証拠金維持率250%くらいが一つの目安です。
これまで説明してきた通り、余剰資金を入れるほど証拠金維持率は上がり、実効レバレッジは下がることになります。
ただ勘違いして欲しくないのは、取引通貨量が同じであれば、余剰資金をたくさん入れるほど損失リスクが減るわけではありません。
ロスカットまでの値幅は広くなるかもしれませんが、損失リスク自体は変わらないので、資金を入れるほど失ってしまうリスクもあるので注意しましょう。

まずは証拠金維持率や実効レバレッジをどの程度にするのかを決めます。
もし250%程度(実効レバレッジ10倍)で始めようと思った場合は、次は資金をどのくらい使えるのか決めます。
例えば、1万円の資金で始めようと決めた場合は、実効レバレッジ10倍なので10万円の取引つまり1,000ドル通貨の取引量ということになります。
おすすめの手順
- 目安の証拠金維持率(実効レバレッジ)を決める
- FXに使える資金額を決める
- 取引通貨量が決まる
初心者はこの流れで考えると必要以上の多くの資金を入れてしまうことがなくなるのでおすすめです。