

〜今回の要点チェック!〜
- ゼロサムゲームとは各参加者の得失点の総和がゼロになるゲーム
- FXは様々な要因が絡み合っているものの基本的にはゼロサムゲーム
- 株式投資はゼロサムではなくプラスサムゲームと言われる
- 胴元が何割か徴収するために、ゲーム参加者の投資金額の合計より還元額が少ないゲームをマイナスサムゲームと言う
- たとえFXがゼロサムだとしても勝ち組になればいいだけの話
ゼロサムゲームとは
ゼロサムゲームとは、零和ゲームとも呼ばれますが、簡単に説明すると各参加者の得失点の総和がゼロになるゲームです。
例えば、参加者6人にそれぞれサイコロの目の1~6を割り当ててサイコロを振ります。
自分のサイコロの目が出た人が勝ちとします。
参加者がそれぞれ100円ずつ参加費を払って、勝者は全員の参加費を手に入れることができます。
6人のうち負けた5人は100円を失うので1人あたりマイナス100円となり、勝った1人は100円が600円になって戻ってくるので、プラス500円ですね。

このように勝って利益を得るものがいれば、同じ分だけ負けたものがいるというのがゼロサムの世界と言えます。
パイがすでに決まっていて、そのパイを参加者同士で奪い合うような状況です。
反対に言うと、みんなが仲良く利益を上げるということができない仕組みとも言えますね。
FXは通貨ペアの売買によって利益を出す仕組みなので、ある通貨を買って100万円の利益を出した人の裏にはその通貨を売って100万円の損失を出した人がいることになるので、ゼロサムゲームではないかと言われているのです。
FXは本当にゼロサムゲームなのか
冒頭でもありましたが、FXはゼロサムゲームだと言う人が多いですね。
はたして本当のところはどうなのでしょうか。
結論から言うと、ほぼゼロサムゲームと言えます。
曖昧な言い方ですが、FXは市場規模もかなり大きく様々な要因が絡み合っています。
純粋な為替差益を狙った取引や金利差を狙った取引は、ある通貨を売買しますが、必ず反対売買をしてくれる人がいて成立します。
通貨の取引だけを考えるとゼロサムゲームが成り立っていますね。
ただ、為替市場の参加者には実需と投機が混在しており、輸出業者が利益を外貨から円に変えたり(円売りっぱなし)、輸入業者が輸入代金のためにドルを買ったりすること(ドル買いっぱなし)も為替に影響を与えています。

為替介入とは、為替相場の急激な変動を抑え、その安定化が目的です。
例えば、急激な円高に対しては、円を売ってドルを買いますが、国が政府短期証券を発行することで円資金を調達して、調達した円を売ってドルを買い入れます。
このように国家さえも絡んで世界規模でのやり取りになるので、単純なゼロサムゲームとは言えないところもあります。
しかしこれから説明する株式投資と比較したり、大きなカテゴリーに分けるとしたらやはりゼロサムゲームと言えるでしょう。
株式投資はゼロサムではなくプラスサム?
よく比較されるのがFXと株式投資ですが、株式投資はゼロサムゲームではないと言われています。
特に長い期間で考えた場合に株価全体は上昇傾向にあるので、参加者全員が利益を出すこともあり得る世界です。
また、経済が発展していく中での上昇相場においてはパイが増えることもあり、数が決められたパイを奪い合うという仕組みではありません。
株式投資は短期的には相場が下落することはあっても長期で見れば右肩あがりで配当もあることからプラスサムゲームであると言う人もいます。
プラスサムゲームとは、参加者の利益と損失の合計がプラスになるゲームのことです。
もちろん相場が下落すると株を買っていた参加者は、損失を出すリスクもありますが、利益を出している人の裏で、同じだけ損失を出している人がいるという世界でもありません。

マイナスサムゲームとは?
ここまでゼロサムゲーム、プラスサムゲームについては触れてきましたが、マイナスサムゲームにも少し話しておきます。
マイナスサムゲームとは、ゲーム参加者の投資金額の合計より、還元額の合計が少ないゲームのことです。
具体的には胴元(運営者)がゲーム参加者から集めた資金の何割かを徴収する仕組みです。この仕組みに該当するのが、宝くじ、競馬、パチンコなどです。
FXもスプレッドやスリッページで発生する取引コストはFX会社へ流れるので、そのことを考えるとマイナスサムの要素も少なからずありますね。
ただ、宝くじの胴元の利益が約50%ということを考えると、FXのスプレッドの場合、FX会社の取り分は数%なので、同じ土俵に並べるべきではないですね。
ゼロサムかどうかより重要なこと
ここまで、ゼロサム、プラスサム、マイナスサムなどの説明をしながらFXはゼロサムかどうかの説明をしてきましたが、この3つのカテゴリのどこかに入れるとしたらやはりゼロサムになります。
ただFXは市場も大きく、様々な要因が通貨の上昇下落に関係していることから完全なゼロサムではないことも知っておきましょう。

今回一番伝えておきたいのは、FXがゼロサムだとして、「ゼロサムだから何?」ということです。
パイの取り合いというものは、FXに限らず様々なところで存在しています。
市場規模が決まっているビジネスの顧客の奪い合いもその一つですし、大学受験についても定員は決まっています。
勝つものがいれば負けるものがいるというのは資本主義の世界なら当たり前のことです。
他の人を蹴落としてまでも勝ちにこだわりたくないという考え方であれば、そもそもこの社会では生きにくいですし、当然FXも向いていないでしょう。

負け組トレーダーから勝ち組トレーダーに変わればいいのです。
ゼロサムゲームでは、ゲームに慣れていない初心者は徹底的にカモにされます。
FXの場合も同様です。
負け組トレーダーのほとんどはFXを始めたてで知識がないトレーダーか、いつまでも本気でトレードスキルを上げようとしないトレーダーです。
そこから一歩抜け出して勝ち組トレーダーになればいいだけのことです。


その知識をもとにチャートを検証したりしながら自分の取引スタイル(手法)を構築していく必要があります。
トレードの勉強や検証も大切ですが、そればかりだと「頭でっかち」になってしまいますので、実践も必要です。
ただ、実際にトレードする場合、負け組トレーダーから脱却するまでは少額の資金で取引しましょう。
勝ち組トレーダーに変わった段階で資金をつぎ込めるように、最初はとにかく資金を減らさないことが大切です。
FXはゼロサムゲームだと言いましたが、少なくともゼロサムゲームには勝者が必ずいます。
勝者がいないゲームには参加する意味がありませんが、勝者は必ずいるということを考えれば、それに相応しい努力もできるはずです。
FXは簡単に稼ぐことができると思っていた場合には「FXはゼロサムゲーム」だと聞くと厳しい世界だと思うかもしれませんが、そもそもFXは簡単な世界ではないということを知っておきましょう。
一旦市場に入れば、プロだろうが素人だろうが関係のない世界です。
自分の資金が他の誰かに奪われる可能性があるという意識を常に持ちましょう。
繰り返しますが、ゼロサムゲームから抜け出すには、つまり利益を出すには勝ち組トレーダーの仲間入りをするだけです。
そしてその勝ち組に入るには、一定量の努力は必要でしょうが努力しさえすれば決して不可能なことではありません。
