

〜今回の要点チェック!〜
- 窓開けとは土日にレートが大きく動いた場合に金曜日のクローズ時と月曜日のオープン時のレートに差が出ること
- 月曜日の窓開けを狙うトレードは反対方向に動いた場合、損切り注文が取引開始のレートで決済される可能性もありリスクが高い
- 開いた窓は埋めやすい傾向があり、窓埋めを狙うトレーダーも多くいる
- 窓埋めを狙う場合は長期足でのトレンド方向、損切りラインがあるかどうか、大きなニュースがあったかなどに注意する
- 窓埋め完了後の反発を狙う場合も長期足でのトレンド方向を意識すること
「窓開け」はなぜ起きるのか
まずは窓開けのチャートを見てみましょう。
ユーロドルの日足チャートですが、2017年の4/24に大きく窓を開けてスタートしています。
前日の日曜日に行われたフランス大統領選挙の結果を受けて上昇したものですが、実はこの窓は現在もまだ埋められていません。
上方向にチャートに隙間ができることを上窓(ギャップアップ)、下方向を下窓(ギャップダウン)と言います。

ローソク足チャートを利用している人が多いと思いますが、ローソク足の実体の終値と次のローソク足の始値はレートが飛ぶことがない限りは基本つながっています。
特に長期足チャートであればなおさらです。
値飛び以外で終値と始値に間(窓)が開くとしたら、時間が飛ぶことが原因になります。
時間が飛ぶとはチャートに表示されていない時間帯があるということです。
日本のFX会社の取引時間は、月曜7時から土曜の早朝6時(冬7時)の場合が多いです。
つまりその取引時間のチャートは表示されていますが、金曜日のNY市場がクローズしてから翌週の月曜日の7時に取引が開始されるまでのローソク足は表示されません。
しかし、実際はレートは常に動き続けています。
もちろん取引量は少ないですが、中東の一部の地域では土日が休みでないこともあり、市場が開かれているのです。


窓開けを狙うのは大きなリスク
何か大きなイベントが土曜、日曜に控えているとしてその結果が為替に与える影響を予想して窓開けを狙ったトレードをする人もいます。
ただ窓開けを狙うトレードには大きなリスクを伴うことを理解しましょう。
例えば金曜日の夜に米ドル円を110.10円で買いました。
そのまま上昇したので、利益を伸ばそうと110円に逆指値の注文(損切り)を設定してそのまま翌週まで持ち越すことにしました。
日曜日に為替を大きく動かすような事件が起きて月曜日の取引が始まりました。
レートを見ると、109円になっています。



つまり月曜日の取引開始時刻に窓が開きレートが109円になっていた場合は
損切りは109円で執行されることになります。
1円分(100pips)、窓が開くということはそう頻繁に起きるものではありませんが、何か有事でも起きて大きく窓が開く場合は2~3円開く可能性もあるのです。
そこまで開くことはめったにないとしても、損切りを設定していても窓が開くと大きな損失を出すリスクがあります。
金曜日までポジションを持っていた場合は窓開けによる損失リスクをしっかりと考慮して、事前に決済しておくか、せめて分割決済するなどしてポジションサイズを小さくするなどの対応が望ましいです。
開いた窓は埋めやすいのか
開いた窓は長い期間で考えると必ず閉まるというトレーダーもいます。
開いた窓が1週間以内に埋まる確率は95%だとも言われています。




例えば、金曜日のクローズ時に110円だったレートが月曜日のオープン時に110.5だったとしましょう。
いわゆる「上窓」ですが、この場合の参加者の心理を読んでいきます。
金曜日に買いポジションを持ち越したトレーダーの心理はどうでしょうか。
ラッキーなことに利益を伸ばすことができましたが、この後窓がどんどん埋まっていくことを考えると、利益が伸ばせている今のうちに決済してしまおうとして利益確定の売り注文を出す場合が多いでしょう。
そして窓埋めの確率は高いと知られているので、この窓を見て窓埋めを狙い、新規に売りエントリーする参加者が増えるでしょう。
つまり、決済の売り注文や新規の売り注文が増えることになりますね。
このため、上窓でその週のチャートが始まった場合は、窓が埋められるまで下落する可能性が高いということです。

窓埋めを狙ったトレードとは
窓埋めを狙ったトレードはやり方としてはとてもシンプルですが、安定して利益を出せるかというとなかなか難しいです。


たとえ1週間以内に窓が埋まる可能性が高いと言っても埋まらずにそのまま上昇、下降していく場合もあるのです。
特に何か相場を動かすような大きなニュースや出来事があった場合は窓を埋めずにそのまま上昇、下降していく場合も多いです。
そのような場合に備えて損切りは必要です。
そして、その損切りをどの程度に設定するのかが難しいところです。
窓埋めまでどのくらいの利幅が見込めるのかを確認して、リスクリワードを意識して損切りを設定する必要があります。
損切りのポイントとしては、抵抗ができるのを待つか、抵抗線として機能しそうな水平線を探すかのどちらかになります。
難しさとしては、窓は埋まる確率が高いと言ってもいつ埋まるのかは分からず、もう少し窓を開ける方向に進んでから窓を埋めるという場合もあります。
このような場合には、損切りを設定しても窓が埋まる前に損切りに引っかかってしまいます。

この時間帯については、通常でもスプレッドが広がる傾向にあるので、窓が開いた月曜などは通常よりもさらにスプレッドが広がる可能性が高いです。
もしどうしても窓埋めトレードに挑戦するのであれば、次のことに注意しましょう。
窓埋めトレードのポイント
- 窓開けの根拠となる大きなニュースや出来事がない
- 日足や週足などの長期チャートのトレンド方向と窓埋め方向が同じ
- 損切りの根拠となるラインがあり、リスクリワードが最低でも1 : 2以上ある
窓埋め後を狙ったトレードとは
窓を狙ったトレードのもう一つは窓埋め後の反発を狙ったトレードです。
窓を開けて始まる場合も窓が埋まると今度は反発する傾向があります。
また例で説明すると、金曜日のクローズ時点で110円だったレートが月曜日に110.5円まで上窓を開けたとしましょう。
セオリー通りに窓が埋まったとして、110円程度まで下がってから再上昇していく流れを狙うトレードです。


金曜日に売りポジションを持っていた場合は月曜日に大きな損失を抱えることになります。
ただ窓が埋まる可能性も高いためすぐに買いの決済(損切り)をしません。
案の定、窓を埋める下落方向にレートが動きます。
そして窓埋めが完了すると、だいたい金曜日のクローズ時点の値となるので
含み損を減らすことができた売りトレーダーや、含み損から含み益にすることができた売りトレーダーは買いの決済(損切り)をし始めます。
またトレンド自体は窓開け方向に出ている可能性が高いので、金曜日のクローズ時点付近まで下がってきたところで窓埋めの反発を狙って新規買いエントリーを狙うトレーダーも多くいるはずです。
つまり、決済の買い注文や新規の買い注文が増えることになりますね。
これが窓埋め後に反発する理由です。
窓埋め後の反発を狙うトレードは損切りを窓埋め完了付近に設定すると損失を小さくできるので、そのラインまで待ってトレードしましょう。
また窓埋めトレードと同じように長期足でのトレンド方向と反発の方向が同じだった場合に限って狙うようにすると勝率も上がります。