

〜今回の要点チェック!〜
- スワップ運用とは通貨間の金利差からくるスワップポイントで利益を狙うこと
- 日本時間の早朝の時点でポジションを保有していればスワップポイントが発生する
- スワップポイントは各国の政策金利変更により変動する
- トルコリラや南アフリカランドなどが代表的な高金利通貨でスワップ運用に人気
- 年単位で保有を考える場合は実効レバレッジ2倍程度にして為替変動リスクに備える
- 為替変動に悩まされずにスワップポイントを狙うなら「サヤどり」という方法がある
- 初心者はスワップ運用よりも為替差を狙った方がいい
目次
スワップポイントとは
FXの2つの稼ぎ方
FXで利益を出す方法は2つあります。
1つは為替差を狙うものでキャピタルゲインとも言います。
例えばドルを1ドル110円の時に買って1ドル120円になった時にドルを売って円を買い戻せば10円の利益が出ますね。
ある通貨を「安く買って高く売る」、「高く売って安く買い戻す」というような利益の出し方は為替差を狙ったものですね。
もう1つのFXの利益の出し方が、通貨間の金利差から発生するスワップポイントで利益を出す方法です。
この方法はインカムゲインとも呼ばれ、資産を保有することで継続的に受けることができる現金収入と同類です。
政策金利とスワップポイント
今回はこのスワップポイントについて詳しく説明します。
金利と聞いて身近にあるものが銀行の金利ではないでしょうか。
例えばお金を銀行口座に預金するときは年利として一定の額が入ってきますね。
この利率は、日本銀行が決定する政策金利に応じて上がったり下がったりしています。
現在日本は政策金利が0.1%ほどなので、銀行に預け入れた時の利子もあまり期待できませんよね。
世界に目を向けると、各国の中央銀行もそれぞれ自国の政策金利を決めています。
主要国の政策金利を見てみましょう。
国名 | 金利 | 国名 | 金利 |
日本 | 0.10% | カナダ | 1.75% |
アメリカ | 2.50% | オーストラリア | 1.50% |
欧州 | 0.00% | ニュージーランド | 1.75% |
イギリス | 0.75% | トルコ | 24.00% |
スイス | -1.25% | 南アフリカ共和国 | 6.75% |
※2019/3/12時点
日本は世界的に見ても金利が低いですね。


例えば、円でドルを買った場合は2.5% - 0.1% = 2.4%の金利差の恩恵を受けることができます。
この金利差を日ごとに算出したものがスワップポイントです。
ではスワップポイントを実際に見てみましょう。
GMOクリック証券FXネオの2019/3/12時点のスワップポイントです。
通貨ペア | 日本語 | 売スワップ | 買スワップ |
USD/JPY | ドル円 | -73 | 70 |
EUR/JPY | ユール円 | 8 | -9 |
GBP/JPY | ポンド円 | -35 | 32 |
AUD/JPY | 豪ドル円 | -31 | 30 |
NZD/JPY | NZドル円 | -35 | 32 |
CAD/JPY | カナダドル円 | -44 | 41 |
TRY/JPY | トルコリラ円 | -87 | 87 |
ZAR/JPY | ランド円 | -100 | 100 |
EUR/USD | ユーロドル | 88 | -91 |
※ランド円は10万通貨の場合


例えばドル円を1万通貨買った場合は、そのポジションを持ち続けている限り毎日70円入ってくるのです。


スワップポイントはいつもらえるのか


スワップポイントが発生する仕組みを説明していきましょう。
金利が高い通貨を買うとスワップポイントが発生しますが、スワップポイントをもらうためにはそのポジションを保有しなければいけません。

例えば、午前9:00にポジションを持って、午後11:00に決済した場合はスワップポイントを得ることはできません。
スワップポイントがもらえる時間は各会社で少し異なりますが、概ねニューヨーク以上が終わった後の午前6時から7時(夏時間午前5時から6時)の間です。
つまり毎日その時間帯までポジションを持ち続けていればスワップポイントが付与されるのです。
例えば、ポジションを丸1日保有していなくても、スワップポイントが付与される時間帯の直前にエントリーしてポジションを保有した場合でもスワップポイントをもらう資格があるのです。
一方で、1日でトレードを完結させるデイトレードや短時間でエントリーから決済を終わらせるスキャルピングのスタイルでトレードする場合はスワップポイントは関係ないということですね。
日によってスワップポイントが異なるのはなぜ


チェック!
スワップポイントが変動する要因
・各国の政策金利変更
・通貨レートの変動
・土日分を付与する日
・FX会社の設定変更
各国の政策金利変更
まずスワップポイントは金利差をもとにしたものなので、各国の政策金利が変更されるとそれに応じてスワップポイントも変動します。
例えばトルコリラですが、2018年4月時点では8%だったのが、2018年10月時点で24%まで上がっています。
これはトルコの政治情勢などが関係してのもので、ここまでの変動は主要通貨では考えにくいことですが、短期間でこれほど変動することもあるということです。
通貨レートの変動
スワップポイントを円換算する上で為替レートも関係してきます。
ただし、為替レートによる変動はわずかであると考えていいでしょう。
土日分を付与する日
スワップポイントのカレンダーである曜日だけスワップポイントが多くなっている原因です。
これは土曜日、日曜日のスワップポイントを付与するためです。
曜日は決まっている訳ではありませんが、水曜日に土日分を合わせて3日分付与するFX会社が多いです。
そのため水曜日だけ他の日の3倍近くのスワップポイントがもらえるようになっているのです。
FX会社の設定変更
スワップポイントはFX会社の裁量で自由に決めることができます。
もちろん会社の利益になるように設定することもできるでしょうが、各社スワップポイントは力を入れて争っています。
スワップ運用に人気のある通貨ペアについては高めのスワップポイントを設定するなどして口座開設を促進している場合も多いです。
スワップポイントに適した通貨ペアは
スワップポイントに適した通貨ペアは低金利通貨と高金利通貨の組み合わせです。
現在日本は低金利なので、円と高金利通貨を組み合わせるのが良いです。
高金利通貨の代表的なものをまとめました。
通貨 | 金利 |
トルコリラ | 24.00% |
南アフリカランド | 6.75% |
米ドル | 2.50% |
NZドル | 1.75% |
豪ドル | 1.50% |
※2019/3/12時点
トルコリラの金利が突出しているのが分かりますね。
上でも述べたように2018年になってから金利が3倍に上昇しています。
理由としては国内情勢の悪化や、2018年に起きた「トルコショック」などに起因します。
このトルコの例を見ても金利は常に変動するリスクがあると言えます。
トルコリラ円の通貨ペアについては扱う会社も増えてきましたが、扱っていない会社もまだあります。
南アフリカランドですが、やはり国内情勢や世界の金融情勢に左右されやすく、ショックが起きた時などは急落する可能性があります。
南アフリカランドに限りませんが、金利が高い新興国通貨は変動リスクが高いので為替変動リスクに注意しましょう。
米ドルについては流通量も多く安定していることからスワップ運用初心者にもおすすめの通貨ペアです。
情報も入ってきやすいので、下げ切ったところを狙ってエントリーできれば長期保有も可能です。
豪ドル、NZドルは以前は金利が今よりも高く、スワップ運用に人気の通貨でした。
最近は金利が下がっていることもありますが、他の通貨ペアと比べるとまだスワップ運用に向いていると言えるでしょう。
値動きについてもトルコリラや南アフリカランドと比べると比較的安定しています。
スワップ運用をシミュレーションしよう


スワップ運用で一番気をつけたいのは為替変動リスクです。
スワップポイントを狙ってポジションを保有していても為替差損益は生じます。
一番理想的なのは金利差でも為替差でも利益を得ることですが、なかなか難しいです。
スワップ運用はポジションの長期保有が前提なので、ポジションを長期間持っている間に為替変動により、為替差損が発生する可能性が高いのです。
例えば、せっかく積み上げたスワップポイントがロスカットにより全て吹き飛んでしまうことがないように資金管理を徹底する必要があります。
実際に運用をシミュレーションしてみましょう。
設定
レート: 1トルコリラ20円
資金: 10万円
スワップポイント: 100円
ロスカット: 証拠金維持率100%割れで執行
資金が決まっている場合は、取引量を調節して実効レバレッジを下げることでロスカットリスクを減らせます。
実効レバレッジは
取引金額(円) ÷ 資金(円) = 実効レバレッジ
で計算できます。
シミュレーション
・1万通貨の場合
→実効レバレッジは2倍となり、10.416円まで下がればロスカット
→1年保有で35,600円のスワップポイント
・2万通貨の場合
→実効レバレッジは4倍となり15.625円まで下がればロスカット
→1年保有で73,000円のスワップポイント
・5万通貨の場合
→実効レバレッジ10倍となり、18.75円まで下がればロスカット
→1年保有で182,500円のスワップポイント
トルコリラ円は1ヶ月でおよそ2円変動しています。
そのため実効レバレッジ10倍の取引ではロスカットになる可能性がとても高いですね。
年単位で長期保有を考えるなら実効レバレッジ2倍くらいで考えた方が良いです。
もちろんレバレッジを下げるとスワップポイントも少なくなりますが、長期保有でロスカットに合わないことが前提なので、レバレッジは為替差を狙う取引よりももっと下げる必要があります。
シミュレーションは資金10万円ですが、もし資金を100万円使えればスワップポイントは10倍になりますね。
実効レバレッジ2倍でも資金が100万円なら1年で36万5千円のスワップポイントとなります。
スワップ運用は、想定される変動幅と損失額をあらかじめ知っておく必要があります。
年単位で保有することを目指すなら過去チャートの最安値を基準にするなどしてロスカットにならないような実効レバレッジで取引することが大切です。
サヤどりについて
スワップ運用のもう一つの例としてはサヤどりという方法があります。
スワップポイントは各会社で異なっているので、その差を使って利益を出します。
例えばトルコリラ円1万通貨をA社で買い保有します。
A社の買いスワップポイントは120円です。
さらにトルコリラ円1万通貨をB社で売り保有します。
B社の売りスワップポイントは-90円でした。
同じ取引量の買いポジションと売りポジションを持つことを両建てと言います。
スワップポイントは
120円 - 90円 = 30円
で毎日30円しか入ってきませんが、このメリットは為替変動リスクがほぼなくなることです。
両建てしているので、どちらかの損失はどちらかの利益で相殺されることになります。
つまりレートが上がっても下がっても合計の評価損益は変わらないのです。
デメリットとしてはスワップポイントが少なくなることと、資金が2倍必要になることです。
マイナスのスワップポイントが小さい会社があればサヤどりが成立します。
GMOクリック証券FXネオは比較的売りのスワップポイントが小さいです。
トルコリラ円の売りスワップポイントは2019/3/12 時点で-87円となっています。
トルコリラ円の買いスワップポイントは大きいところで120円なので、サヤどりをするのであれば、GMOクリック証券FXネオは持っておきたい口座です。
初心者とスワップ運用


スワップ運用に向いている人
- 資金が豊富にある
- トレードをする時間があまりない
- 長期的な相場の流れを見抜く力がある
- 資金管理についてよく理解している
スワップ運用は為替変動リスクに備えてレバレッジを下げて運用するため資金が少ないと恩恵も少ないです。
資金があまりないという場合は為替差を狙った取引の方が利益を出しやすいでしょう。
トレード時間については、スワップ運用はエントリーしてポジションを持てば決済するまですることはないので、時間がないトレーダーには向いているでしょう。
表の最後2つの項目については、初心者の場合はまだそのスキルがない場合がほとんどでしょう。
さらにスワップ運用している間は、例えば他の通貨ペアで絶好のチャンスが訪れてもスワップ運用に資金を取られているためエントリーできないという場合もあるでしょう。
つまり機会損失リスクもあるのです。
まとめると、上に述べたようなスワップ運用に向いている人でなければ、トレードの練習、経験を積んで為替差益を狙ったトレードをする方がいいでしょう。
1万通貨の取引なら1年で365pipsつまり、1ヶ月で30pips、1日で1pips程度利益を出すことができれば、スワップ運用と同じくらいの利益になるでしょう。
どちらの方が自分に向いているのかをよく考えてみましょう。
初心者のうちはプラスのスワップポイントは「ラッキー」、マイナスのスワップポイントは「必要経費」くらいに考えて為替差益を基本にするのもおすすめです。