

〜今回の要点チェック!〜
- スリッページ とは注文時のレートと約定したレートがずれてしまうこと
- スリッページの原因はタイムラグと流動性の低下
- スリッページ許容幅を設定することで、損失を減らすことができる
- スリッページに悩まされないためには取引時間に注意し、約定力が高い会社を選ぶこと
目次
スリッページとは?スプレッドとの違いは?
スリッページ とは、注文時のレートと実際に成立したレートがズレてしまうことです。
例えば米ドル円が上昇して、レート表示が110.00になったのを見て買いのボタンを押したのに取引履歴には111.05で買いとなっている場合です。
これは5pips(銭)ほど高く買ってしまったことになるので、この場合はトレーダーにとって不利に働きます。
このように注文レートにズレが生じることをスリッページ と言います。


この差が広ければ広いほど手数料としてFX会社に支払うコストは増えます。
スプレッドとスリッページはどちらも取引コストに関わるので混同しがちですが、違いをしっかりと理解しましょう。
まずスプレッドはトレードごとに必ず発生するものですが、スリッページは毎回のトレードで発生する訳ではありません。
スプレッドは場合によっては変動することもありますが、その変動も考慮したレートが取引画面上に出されているのでエントリー前に確認できます。
一方でスリッページは基本的に注文時のレート画面には表示されず、約定してから履歴を見て気づくことになります。
スプレッドとスリッページの関係ですが、スリッページが発生しにくい会社はスプレッドが少しだけ大きい傾向にあります。
逆に会社によっては、スプレッドは小さいけれどもよくスリッページが発生する場合もあります。
スプレッドもスリッページも両方取引コストに関わります。
取引コストを考える時は、スプレッドの値だけでなくスリッページの発生率も合わせてトータルで考えることが大切です。
なぜスリッページが発生するの?


注文してから約定するまでのタイムラグ
では為替レートがどのように決められてトレーダーの注文が約定するのか仕組みを理解しましょう。
まずFX会社は仲介業者であることを理解しましょう。
つまりトレーダーとFX会社のみで取引している訳ではありません。
まずレートですが、インターバンク市場と呼ばれる銀行間の取引が行われている市場のレートを元にしてFX会社がトレーダーにレートを提示しています。
そのレートを見てトレーダーは注文しますが、まずFX会社に渡り、その後インターバンク市場に流されます。
つまりインターバンクがレートを提示してから、最終的にトレーダーの注文を約定するまでの間にレートが異なっていれば注文が滑ることになります。
現在ではコンピューターの処理能力も上がり瞬時にこの一連の取引がなされるのですが、レートが急変するような場合はその一瞬の間にレートが動きスリッページの原因となるのです。
流動性の低下
もう一つの理由としては流動性の低下があります。
流動性が低いということは取引参加者が少なく、市場の取引量が減っている状態です。
例えば、「米ドル円100万通貨買い」という注文には「米ドル円100万通貨売り」という注文とを対応させることによって注文が成立します。
参加者が少なく流動性が低い場合は、指定したレートでの対応売買が成立しない場合も出てきます。
このような流動性が低い時はスプレッドが広がったり、スリッページが発生する傾向があります。
参加者が少なくなる祝日やクリスマス、年末年始は特に注意が必要です。
また、そもそもFX会社が取引しているカバー先銀行が少ない場合は十分な流動性を確保できずにスリッページが発生しやすい原因となります。
注文方法とスリッページの例
ではスリッページの具体例を確認しましょう。
スリッページは成行注文(現在表示されているレートで売買する)と逆指値注文(現在よりも上がったレートを指定して買う、または現在よりも下がったレートを指定して売る)で発生する可能性があります。
では3つの取引例を見てみましょう。
例1
下のレートを見て買いの赤いボタンを押しました。(成行注文)
自分では111.892で買ったつもりだったのですが、成立した取引画面を見ると111.899買となっていました。
つまり0.7pips不利なレートで約定したことになります。
この場合はスプレッドが0.3pipsなので、取引コストは合計で1pipsになります。
例2
ドル円を111.255で買いました。
しかし思うように上がってくれず、111.155で損切りとして売りの決済注文を入れておきました。(逆指値注文)
しばらくして取引画面を見てみると、111.150で約定されていました。
この場合はスプレッドも含めて-10pipsで損を見積もっていたのに実際は-10.5pipsになってしまいました。
このようにスリッページ はトレーダーに不利に働くことが多いですが、有利に働く場合もあります。
例3
ドル円が100円まで下がったら買おうとレート画面を見ていました。
すると予想通り100円まで下がったのでスピード注文で買いのボタンを押しました。(成行注文)
その後約定したレートを見てみると、99.997買となっていました。
この場合は0.3pipsほど安く買えたということで、トレーダーにとって有利に働いたことになります。
スリッページ設定はどのくらいにすればいいの?
スリッページの対策としては、まず各会社の取引ツールの注文設定にあるスリッページ許容幅を設定することです。
スリッページは基本的に成行注文と逆指値注文(主に損失確定の注文)で発生しますが、スリッページの許容幅を設定できるのは成行注文です。
デフォルトでは設定されていないので、スリッページが発生するとどれほど滑ったとしても免れることはできません。
このスリッページの許容幅を設定すると、許容以上のスリッページが発生した場合注文を成立させないようにすることができます。
例えばスリッページ許容幅を0.3pipsに設定すると、それ以上のスリッページ、例えば0.5pipsのスリッページが発生した場合は注文ボタンを押しても取引が成立しなくなります。


例えば、一日に何十回もトレードするならば、取引コストは重要になります。
0.3pips程度に設定してそれよりも大きなスリッページは約定しないように設定した方がいいです。
また経済指標の発表後の流れを狙って取引したい場合はスリッページが発生しやすいので、ある程度許容幅を広めておかないと、なかなかエントリーすることができません。
相場環境にもよりますが、5pips程度の許容幅ならスリッページが発生しても大抵の注文は入れることができます。
スリッページが発生しやすい相場はスプレッドも広がっていることもよくあるので、スプレッドの広がりについても常に確認するようにしましょう。
注意点は損失確定の成行決済をする場合に許容幅を狭くしすぎると、損切り注文をしたいのにできないという場合があることです。
急落時なら損切りが少し遅れるだけで損失が大きくなるため、許容幅を狭くするほど良いという訳でもありません。
例えばスリッページ設定を「0」にしてスリッページが発生しないようにすることもできますが、スリッページが発生しやすい相場においてはなかなか注文が通らないことになります。
自分のトレードスタイル相場環境に応じて注文成立と取引コストのバランスをとる必要があります。

チェック!
スリッページ 設定の例
・スリッページが発生した取引をなるべく成立させたくない時
→ 0.3pips程度
・多少スリッページ が発生してもとにかく約定させたい場合
→ 5pips程度
※相場環境やトレードスタイルによって設定を変える
スリッページに悩まされないためには
時間を選んで取引する


まずはスリッページが発生しやすい時間帯を避けて取引することです。
上でも説明しましたが、流動性が低下している時や相場の急騰急落時にスリッページが発生しやすいので、流動性が低下する時間帯、例えば1日の中であれば早朝の取引を避けることも良いでしょう。
また重要指標の発表時もリスクが高いですね。
さらにはもっと長い期間で考えると、長期休暇やクリスマスにおけるトレードも注意しておくようにしましょう。
約定力の高い会社を選ぶ
もう一つのスリッページの対策は、スベらない会社を選ぶことです。
業者選びの基準の1つに「約定力」というものがあります。
簡単に言うと注文を成立させる力のことです。
もし約定力が低いと、
・そもそも注文が成立しない(注文拒否)
・注文時のレートと異なるレートで成立する(スリッページ)
ことが多発することになります。
約定力が高いとは上記のようなことが少ないということです。
もう1つ「約定率」という言葉もあります。
これは受けたレートで注文を成立させた割合をしまします。
言い換えると、どれだけズレなく注文を成立させることができたかということです。
割合なのでどのくらいの頻度でスリッページが発生するのかを知ることができます。
また具体的に数字として示されるので、比較しやすく分かりやすいです。
全ての会社が公表している訳ではありませんが、少しでもスリッページを避けたい場合はこの約定率という言葉に注目すると良いでしょう。

マネーパートナーズ
ストロングポイントとしては約定力がNo.1ということです。矢野経済研究所が行なっている調査において8年連続で約定力No.1という評価を受けています。スプレッドも主要通貨についてはGMOクリック証券やDMM FXを上回る水準もあります。またパートナーズFX nanoを利用すると取引単位が100通貨からとなり、初心者がトレードを練習するのにも向いています。
マネーパートナーズ 基本情報 | |||
取引単位 | 通貨ペア数 | ||
10,000通貨(100通貨) | 20(18) | ||
スプレッド(原則固定)※例外あり | |||
米ドル/円 | ユーロ/米ドル | ユーロ/円 | 英ポンド/円 |
0.3 pips (0.4 pips) |
0.3 pips (0.8 pips) |
0.4 pips (0.7 pips) |
0.9 pips (1.2 pips) |
※( )の値はパートナーズFX nano
FXの始め方が分かりますか?
これからFXを始めようとしている方はこちらの記事も参考にしてください。