



目次
スプレッドを一からわかりやすく説明
スプレッドと手数料を理解しよう
スプレッドとは英語にするとspreadで「幅、広さ」などの意味を表します。
FXにおいては売値と買値のレートの差を表します。
例えば下の米ドル/円のレート画面では、中央にある0.3という数字が売値と買値の差を表すスプレッドの値です。
まずこのスプレッドの単位ですが、円を含む通貨ペアの場合は銭(せん)またはpipsで表します。
どちらも同じ単位でしたね。
詳しくはFXのpipsの意味とは?正しく理解して損益を計算してみよう!を参考にして下さい。
その他の通貨ペアについてはスプレッドをpipsで表すことになります。
なので基本的にスプレッドはpipsという単位で表記されると覚えておきましょう。
上の例の場合はスプレッドが0.3pips(銭)ということになりますね。
ではなぜ同時刻のレートなのに売値と買値に差があるのでしょうか?
極端な例を出すと、仮にある会社の米ドル/円のレートの売値が110円、買値が111円だとします。


買いでエントリーした場合は、111円で約定されます。
111円よりも高いところで売れば(決済すれば)利益が出ますが、仮にエントリーの直後に売ったとすると(決済すると)、110円で決済されてしまいます。
つまりマイナス100pipsですね。
この損失分はどこに行くかと言えば、FX会社です。
このスプレッドが広いほど1回のトレードにかかる費用(手数料)が多くなります。
言い方を変えれば、この場合トレードは必ずマイナス100pipsからのスタートということになりますね。
このスプレッドの値は各会社が自由に決めることができるので、スプレッドは実質手数料と考えられているのです。
ポイント
- スプレッドとは買値と売値のレートの差をpipsまたは銭で表したもの
- トレードごとにスプレッド分の金額を手数料として支払うことになる
- スプレッド分だけマイナスの状態からトレードを始めることになる
スプレッドをシミュレーションしてみよう


まずは、国内の主なFX会社のスプレッドと取引手数料を確認しましょう。
2019年2月12日現在各社ホームページより
FX会社 | 米ドル/円のスプレッド | 取引手数料 |
GMOクリック証券 | 0.3銭 | 無料 |
DMM FX | 0.3銭 | 無料 |
SBI FXトレード | ※0.27銭 | 無料 |
マネーパートナーズ | 0.4銭 | 無料 |
FXプライム byGMO | 0.6銭 | 1,000通貨単位は30円 |
外為ジャパンFX | 0.3銭 | 無料 |
みんなのFX | 0.3銭 | 無料 |
※取引数量によって変化
上の表に載せていない会社も含めると、概ね米ドル/円のスプレッドは0.3銭〜1銭で取引手数料は無料の会社が多いです。
ここでは米ドル/円のスプレッド0.3銭、取引手数料無料としてシミュレーションしていきます。


スプレッド0.3銭の場合の取引コスト表
取引数量 | トレード1回のコスト | トレード10回のコスト | トレード100回のコスト |
1通貨 | 0.3銭 | 3銭 | 0.3円 |
100通貨 | 0.3円 | 3円 | 30円 |
1,000通貨 | 3円 | 30円 | 300円 |
1万通貨 | 30円 | 300円 | 3,000円 |
10万通貨 | 300円 | 3,000円 | 30,000円 |
左列が取引数量ですが、SBI FXトレードなどは1通貨からの取引ができるので書いておきました。初心者のうちは少額から始める場合が多いので、取引量が少ないうちは、コストをそこまで気にする必要はないでしょう。
ただし、ある程度の利益を狙うなら10万通貨以上扱うことになるでしょう。
その場合はトレード1回につき300円の手数料がかかります。
トレード回数ですが、これはトレードスタイルによります。1日に10回以上トレードをするスタイルもありますし、月に10回程度という場合もあるでしょう。
例
1万通貨で1日3回トレードをした場合
30円 × 3回 × 20日(土日を除く)= 1,800円(1ヶ月の取引コスト)
自分の取引数量、取引回数をイメージして例えば1ヶ月でどのくらいの手数料がかかるのかを計算してみましょう。
今回シミュレーションしたスプレッド0.3pipsというのは比較的小さい値です。
会社によっては同じ通貨でも、この2倍または3倍以上のコストになることを注意して下さい。
スプレッドと通貨ペアの関係


通貨ごとにスプレッドが異なる主な理由としては流通量があります。
米ドル/円やユーロ/米ドルなどは流通量が多いためレートの変動が比較的小さいです。そのためスプレッドも小さくなる傾向があります。一方で、発展途上国の通貨などは流通量が少ないためレートの変動が大きくなりその分スプレッドも広くなる傾向があります。
つまりスプレッドが大きい通貨ペアは値動きも激しい傾向にあり、チャンスも多いですがその分リスクも大きくなります。
また英ポンド/円などのクロス円は、一度米ドルを介して取引することもあり、取引コスト=スプレッドが大きくなる傾向があります。
例としてGMOクリック証券の取り扱い通貨ペアのスプレッドを見てみましょう。
「GMOクリック証券 FXネオ スプレッド・取引手数料」より引用
GMOクリック証券はスプレッドが小さいことでも人気がある会社ですが、トルコリラ/円はスプレッドが1.9銭になっていますね。
米ドル/円の6倍以上です。
このように通貨ペアによってスプレッドは大きく異なります。
ポイント
- 通貨ペアごとにスプレッドが異なるのは流通量が関係している
- スプレッドが大きい通貨ペアはレートの変動が大きい傾向がある
さらに詳しくスプレッドを理解しよう
スプレッドの種類を知ろう

スプレッドの種類というのはあまり聞いたことがないかも知れませんね。
基本的には次の3種類です。
スプレッドの種類
- 完全固定
- 原則固定
- 変動

完全固定
・スプレッドは常に固定され変わることがない。
・現在は完全固定のスプレッドの会社はない。
原則固定
・スプレッドは原則固定されているが、指標発表時や相場の急落急騰の場合などに変動する。
・現在ほとんどのFX会社が原則固定を採用。
変動
・主に流動性に相関してスプレッドが常に変動する。
上のGMOクリック証券のスプレッド表を見ると原則固定となっていますが、トルコリラ/円には注釈がついており、原則固定ではなく変動することが分かりますね。
スプレッドの広がりを知ろう
現在ほとんどのFX会社が原則固定のスプレッドを採用しています。
ではスプレッドが変動する時、つまり広がる時というのはどのような場合でしょうか。
大きく分けると、市場の流動性が低下している時と、市場の急変時においてスプレッドが広がる傾向があります。
市場の流動性が低下している時
・早朝、午前6時〜7時ごろ
・年末年始
・クリスマス
・お盆の期間 など
※このような時は流動性が低く対応する売買が成立しにくいこともありスプレッドが広がります。
市場の急変時
・震災などの天変地異や戦争が起きた時
・各国中央銀行の市場介入時
・重要指標発表時
・リーマンショックなどの世界的経済危機の時
※このような時はFX会社も全ての注文に対応できないこともありスプレッドが広がる傾向にあります。
スプレッドの広がりを実際に経験するには、早朝の時間帯や毎月1週目の金曜日に発表される米雇用統計時にレート画面を見てみると良いでしょう。
このような時にトレードをするのは大きなリスクを伴うことを知っておきましょう。
今回のポイント
- トレードごとにスプレッド分の金額を手数料として支払うことになる
- スプレッドはpipsや銭で表し、会社や通貨ペアによって異なる
- 原則固定のスプレッドを採用している会社がほとんどだが、市場の流動性や急変により広がることがある